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第2話 ◆ ウルウと閏②

「なんかお泊り会みたいで楽しいね、那由多!」 「そうだな……」  さっきまで地球を救って! と訴えてきていた者とは思えないウキウキとした発言だけど、処理しきれない現実が多すぎて、俺は適当な返事しかできなかった。  人間の姿になったウルウは、俺の中学時代のジャージをつんつるてんな感じに着ていても、信じられないくらいかっこよかった。  目はくっきりとした二重瞼で力強く、髪色と同じ水色をした綺麗なまつ毛が色気を添えている。通った鼻筋、口調にぴったりな愛嬌のある口元、そしてそれらを載せた小さな顔はまるで作り物のように肌理細やかで白く、形がよかった。  さらに顔立ちだけでなく、引き締まった申し分ない身体つきと180センチ近い身長。淡青のセンターパートと透き通った瞳も相まって、まるで3DCGキャラクターか、世界的人気を誇るアジアンアイドルかでも目の当たりにしているようだった。  でも、こんなイケメンが煌輝(きらめき)学園にはわんさかいるというから驚きだ。そう、俺の処理しきれないもう一つの現実は――ウルウが既に煌輝学園の生徒だったということだ。  しかもウルウはそんなエリート学園で風紀委員という高位な組織に属しているというから、さらに驚いた。つまりウルウは、既に1年前に地球に降り立ち煌輝学園に潜入し、着々と準備を進め、学園での確固たる地位を築いていたのである。やたらと学園のことに詳しいなと思ったけど、これで納得がいった。  ただ、そうなると。 「那由多、怒ってる……?」 「べ、別に怒ってない。……けど」  再会がうれしかったぶん、女々しくて自分勝手な不満を感じてしまったのは、事実だ。 「さ、さっきはあんなに再会を楽しみにしてたって言ってたくせに。そんなに楽しみにしてたなら、すぐに俺に会いに来てくれたらよかったのに。……地球人の俺には、シャイニスに行く術はないんだ」  それに、俺の預かり知らぬところで先に地球防衛の準備を進めていたのがさびしかった。俺は1年前、ウルウの力になれなかったのだろうか。  しかも、俺も……去年ウルウと一緒に居たら、苦しいことも辛いことも、もっと軽く乗り越えられたかもしれないのに――。

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