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第2話 ◆ ウルウと閏③
「那由多……。僕の話、聞いてくれる?」
ベッドの縁に隣り合って座るウルウが、俺を覗き込むように言った。上体を寄せて手にそっと触れられた俺は、驚いて「な、何?」とだけ返事をした。
「あのね、僕ら獣人族は生まれたときは獣の姿なんだ。12歳くらいで獣人に、成人である15歳になるまでには大体が完全な人間の姿になれるようになるんだ。だから人間の姿 は、隠してたわけじゃないよ。
……僕は15歳になったら、人間の姿になれるようになったら。那由多、君にまず会いに行こうってずっと思ってたんだ。本当だよ」
ウルウはそう言って、俺の手を握る力を強めた。
「那由多も知っての通り僕はシャイニスの皇子だから、那由多にシャイニスを救ってもらってから多忙を極めてた。ただでさえ復興でやることだらけなのに、那由多との功績が認められたことで周囲からの次期当主としての期待が高まりすぎちゃって、実践も勉強も何もめちゃくちゃに詰め込まれてたんだ。とにかく全然自由がきかなくて、君に会いに行きたいだなんて言えるような雰囲気じゃなかった。
だから、成人したら星王様 に地球に行く許可をもらおうって決めてたの。僕はその決意だけを胸に、皇子としての職務を一生懸命やってきたよ。那由多にまた会うためだって思ったら、なんでも一生懸命取り組めたし、職務が大変で忙しすぎて目が回っても、乗り越えられた」
ここまで言って、ウルウは言葉を切った。
「だけどいざ成人になって、父様にも許可をもらって念願の地球に来てみたら――異様に邪悪な気で満ちていて驚いたよ。すぐに家に報せたら、このままお前は煌輝学園に潜入しろって言われちゃったんだ。邪悪な気の発生源が煌輝学園だって分かったんだ。
……あのね、シャイニスは那由多からマジカルスターの加護を与えてもらったあの日、那由多の棲む地球に何かあったら真っ先に自分たちが護るんだっていう強い責務を自分たちに科したんだ。だからね、地球を守るため、那由多を護るためなら、僕の『君に会いたい』という意思なんて、二の次でいいんだよ」
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