2 / 289
序章 : 2 *
不意に。
「ダメだよ、カナちゃん。逃げないで」
ツカサはカナタの腰を、強引とも取れる力で引き寄せた。
「あ……っ」
離れようとしたはずが、むしろさらに密着する体。
カナタはそれでも、ツカサの胸を押し返す。
「ち、近いです……っ」
「そうだね、とっても嬉しいね。……なのにどうして、カナちゃんは俺から離れようとするの?」
「だって、オレ……っ」
カナタは懸命に、身をよじる。
それでもツカサは、距離を開けようとはしない。
──それどころか。
「……あぁ、そっか。カナちゃんの言いたいこと、分かっちゃった」
腰を引き寄せていない、もう片方の手。
──その手で、ツカサはあろうことかカナタの下半身をまさぐり始めた。
途端に、カナタは体を硬直させる。
「やっ、やめ──」
「カナちゃんが気にしているのは、ココ。朝勃ちしていることを気にしているんでしょう? ふふっ。カナちゃんは朝から元気だねぇ?」
「っ!」
瞬時に赤らむ、カナタの頬。
──言い逃れは、できない。
ツカサの手が、カナタの隆起した逸物を寝間着越しに握っているのだから。
「あはっ! カナちゃん、耳まで真っ赤になっちゃった。可愛いなぁ、ホントに……っ」
「せっ、生理現象です……っ! だから、触らないでください……っ」
「うぅん、それはムリかなぁ。……だって」
ツカサは言葉を区切り、さらにカナタとの距離を縮める。
「可愛いカナちゃんを見ていたら、俺も勃ってきちゃったからさ」
「あ……っ」
「分かる、カナちゃん?」
押しつけられる、ツカサの逸物。
それは布越しでもハッキリ分かるほど、存在を主張していた。
頬を赤らめたまま、カナタは小さく頷く。
まるで乙女のようなカナタの反応にも、ツカサは笑みを浮かべる。
「恥ずかしがるカナちゃん、凄く可愛い。寝間着越しなのに、触るとビクビクしているココも……うん。ヤッパリ可愛いね」
「ツカサ、さん……っ」
「ね、カナちゃん。一緒にシよ?」
カナタに残る理性が、頭の中に【抵抗】の二文字を浮かび上がらせた。
だが、残されていた理性は……。
「ぅ、ん……っ」
──僅か、欠片ばかりのもの。
布越しとは言え、急所を握られている。
それどころか、相手はツカサだ。
しかもあろうことか、自分と同じように興奮している状態。
カナタが逃げられる隙や要素なんて、ありはしないのだ。
「カナちゃん。……ズボン、下げるね?」
「だ、め……です……っ」
「ふふっ、だぁめっ。声が期待しているから却下だよ」
「そんな、こと……っ」
拒絶の言葉は、虚しく放り投げられる。
ツカサはカナタの寝間着を下げ、硬く反り立つ逸物を露出させた。
瞬時に、カナタは目を閉じる。自身のあられもない姿を、見たくないからだ。
「は、ぁ……っ」
それでも、ツカサの手は止まらない。
先端を押し潰すように撫でつつ、逃がす気は毛頭ないと言いたげに、竿の部分を握っていた。
ともだちにシェアしよう!