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序章 : 3 *
手の内にあるカナタの熱に、ツカサは口角を上げた。
「まだ扱いてないのに、どんどん濡れてきた。エッチで可愛いよ、カナちゃん」
素直且つ直球すぎるツカサの言葉に、カナタはゆるく首を横に振る。
「恥ずかしい、から……言わないで、ください……っ」
恥じらうカナタに対し、ツカサは笑顔のままだ。
「それも却下。理由は、恥ずかしがるカナちゃんも可愛いから」
微かに、衣擦れの音が響く。
「それに、俺も同じことするんだし……一人じゃないなら、安心でしょ?」
──そんなものは、詭弁にもならない暴論だ。
そう、言い切ってしまえたら良かったのに……。
「は、ぁ……ん、っ」
同じように硬度を持つ、ツカサの逸物。
それを擦り合わされたカナタは、文句のひとつも紡げなくなってしまう。
「カナちゃんのに擦りつけると、凄く気持ちいい。……ねぇ、カナちゃんは? カナちゃんは、俺のがこうして擦りつけられると……一人でするより、気持ちいい?」
「分か、んな……あ、っ」
「そこはウソでも肯定してよ? なんか、俺だけ恥ずかしいじゃん」
そうは言っているけれど、ツカサからは一切の恥じらいも感じられない。
カナタの逸物を弄びながら、ツカサはポツリと呟いた。
「まぁ、分かんなくても当然か。……カナちゃん、最後に一人でシたのって一ヶ月以上前だもんね?」
ビクリと、カナタは体を震わせる。
「なんで、そんなこと……っ」
自分がいつ、自慰行為をしたか。
そんなこと、カナタは誰かに報告したことがない。当然だ。
けれど、ツカサの声には自信しかない。
なぜなら……。
「だってカナちゃん、俺に会ってからは俺としかシてないでしょ? それに俺は、カナちゃんが一人でする必要なんてなくなるくらい、毎日いっぱいイカせてあげてるつもりだよ」
カナタが一人でする理由がないと、ツカサは確信しているのだから。
談笑をしている間も、ツカサの手は止まらない。
互いの隆起した逸物を擦り合わせて、ツカサは自身の手でまとめて扱いている。
──自分以外の、熱。
カナタは徐々に、理性を失っていった。
「はっ、あ……っ。だ、め……そこ、は……っ」
「カナちゃんって、先っぽの方好きだよね? こうすると、どんどん先走りの液が溢れてくる。……ヌルヌルして、手がメチャクチャ動かしやすい」
「ツカサ、さん……っ」
していることは、自慰行為。
それなのに、どうしてこんなにも反応が違うのか。
主導権を完全に握られているカナタは、閉じていた瞳を開く。ツカサを睨むためだ。
しかし、当然……。
「あはっ、図星指されて怒った? でも、慌てるカナちゃんも、短絡的なカナちゃんも、まとめて全部可愛いよ」
カナタの仕返しは、失敗に終わる。
ツカサは笑みを浮かべたままカナタを見つめ、そして呟いた。
「あんまり時間もないし、早く出しちゃおっか」
そう言って──。
「ひっ、ん……っ!」
ツカサが突然、手の動きを速めた。
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