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 今まで体験したことがない、圧迫感。  後孔に突き挿れられる異物感に、カナタは息を呑んだ。 『い、やだ……っ! くる、し……っ』  涙をボロボロと溢れさせるカナタを見て、ツカサは切なそうに眉を八の字にする。 『お腹、苦しい? 痛くはない?』  ──どうして、ツカサは狂人なのか。  歪んだ優しさを向けられたカナタは、涙を流したまま首を横に振る。 『痛くは、ない、です……けど、っ』 『良かった。……じゃあ、ゆっくりシようね? 徐々に慣れると思うから、ちょっとだけ我慢して?』  言葉通り、ツカサはゆっくりと腰を落としていく。  異物によって内側が押し広げられていく感覚は、未知のもの。  ──嫌だ、怖い、と。  ──やめてほしいと思っても、口にはできない。  カナタはシーツを握り締めて、耐えるように息を止めた。  けれど、カナタの姿勢にツカサは目敏く気付く。 『カナちゃん、息を止めちゃダメ。唇も、噛んじゃダメだよ』  そう言い、ツカサは自分の指をカナタの口へ差し込んだ。 『俺の指なら噛んでいいから、ね?』  その声も、手つきも、眼差しも……。  先ほど脅してきた男とは、まるで別人。  色々なことが、あまりにも唐突に舞い込んだ。平凡なカナタの頭では、処理しきれないほどに。  カナタはゆっくりと、考えることを放棄していく。  言われるがまま、カナタは呼吸をした。  強い違和感を与えられると、素直にツカサの指を噛んだ。 『ふぁ、ぁ……ぃ、う……っ』 『ん……っ。奥まで入ったよ、カナちゃん。……カナちゃんのナカ、凄く気持ちいい……っ』  指を引き抜き、ツカサは両腕でカナタの体を抱き締めた。 『可愛いよ、カナちゃん。カナちゃんが世界で一番可愛い……。カナちゃんが可愛すぎて、俺、どうにかなっちゃいそう……っ』  思考放棄をしたカナタは、与えられる言葉だけを受け止める。  ──可愛い。  そう言われると、カナタは全てどうでもよく思えてきた。 『動くね、カナちゃん。……一緒に、気持ち良くなろう? 俺、カナちゃんのこと気持ち良くできるように頑張るから』 『ん、ふぁ……っ』  ゆっくりと、内側を擦られる感覚。  カナタの体を気遣ってか、初めのうちは優しい腰遣い。  けれど、カナタの声が甘い色を含み始めると……その動きは、次第に激しさを増していく。 『やだ、やっ、あっ! 奥、そんなに……いっぱい、突かないでぇ……ん、ぁあ、っ!』 『お尻きゅんきゅんさせて、カナちゃんホンット可愛い……っ! カナちゃん、俺のこと好き? 俺のこと、彼氏って思ってくれている?』  確かにカナタは、ツカサに対して胸を高鳴らせた。  けれどそれは、決して好意ではない。  今すぐどちらかに分類するのならば、カナタにとってツカサはきっと、ツカサが望まない返答の側に分けられる。  ──だが、素直にそう答えたとしたら? 『答えて、カナちゃん。カナちゃんのその可愛い声で、俺のことをどう思っているか、正直に教えて?』  ツカサの意にそぐわない答えを、カナタが紡いだとしたら、きっと。  ──頬に添えられたツカサの手は、すぐさまカナタの首に添えられるのだろう。 『す、好き、です……っ。ツカサさんのこと、ちゃんと……彼氏だって、思っています……っ。だから、酷いことしないで、ください……っ』  これが、最良の言葉。  たとえそれこそが、嘘の言葉なのだとしても。  こう答えることが、正しいことなのだと。  そう思い込むことしか、カナタにはできなかった。

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