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涙ながらの告白に、ツカサは笑みを浮かべた。
どれだけ異常な言動を繰り広げようとも、やはりツカサの顔は整っている。
笑みを浮かべると、まるで周りの温度が上がったかのような錯覚をしてしまうほどに。
『もう一回言って? 俺のことが、なに?』
今まで誰にも触れられたことがないところまで、ツカサの逸物が届く。
カナタは反射的に息を呑みながら、必死に言葉を手繰り寄せる。
『好き、です……っ! ツカサさんが、好き……っ! ひっ、ぁあ、っ!』
ツカサの逸物が内側をゴリゴリと擦るたびに、カナタの体は本人の意思を無視して勝手に跳ねてしまう。
喉の奥からは、出したくもない甘い声が出てしまった。
『好きだから、酷くしないでください……っ! やだっ、や……っ! 乱暴に、しないでください……っ!』
恐怖は、確かに残っている。
それなのに、まるでそれが間違いだとでも言いたげに、ツカサはカナタに快楽を与え続けた。
『ウン、約束するね。カナちゃんのことは、誰よりも俺が一番可愛がってあげる。カナちゃんのこと、いっぱい幸せにしてあげるねっ』
微笑むツカサの表情が、まるで天使のようにすら見える。
実際は、カナタを恐怖で支配し、強姦している悪魔だというのに。
それら全てが一切の悪意を纏っていないのだから、カナタにはどうしたって理解できなかった。
せめて、欠片ばかりでも悪意があったのならば。
『泣いているカナちゃんも、凄く可愛い。メチャクチャ興奮する……っ』
せめて、カナタが欲しい言葉を与えてくれなかったならば、どれほどカナタは幸せだったか。
『あっ、んっ、あぁ、っ!』
容赦のない抽挿に、カナタは快楽を見出す。
欲しかった言葉を贈られ、脳みそが蕩けてしまうほど激しく求められ……。
『んっ! イ、く……オレ、イっちゃ──あぁ、あっ!』
カナタはすぐに、限界を迎えてしまう。
カナタはなす術もないまま、後孔へ与えられる快楽だけで射精をした。
きっと同じタイミングで、ツカサも射精したのだろう。
『カナちゃん……っ!』
温かななにかが後孔へ注がれる感覚に、カナタは気付いたのだから。
『んん……っ、は、ぁ……っ』
覆いかぶさるように倒れてきたツカサが、カナタのことを優しく抱き締める。
『ボーっとしてるカナちゃんも、すっごく可愛いよ。……あっ、そうだ。今度は、可愛い服を着てシよっか。……ね、カナちゃん?』
耳元で囁くツカサの声は、何度も聞いた優しいもの。
むしろそれよりも、さらに甘ったるくてくすぐったい声だ。
それなのに、高まっていた体が徐々に冷えていく。
……カナタはこの日、初めての恋人ができた。
そして……初めて、性行為を経験したのだ。
──自分でも想像していなかった、予想外な方法によって。
『……ひっ、う……う、く……っ』
溢れた涙と嗚咽を、止めることもできないまま。
カナタはツカサに抱かれたまま、ただただ泣き続けた。
1章【そんなに強引にしないで】 了
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