99 / 289

6 : 13 微*

 ボディソープが、体とこすれる音。  どこか淫らに聞こえるその音にすら、カナタは体を震わせてしまう。 「待って、本当に──ん、っ」  背筋を指が伝うと、ゾワゾワとした抗いがたい感覚が背を這う。  脇腹に指先が触れると、くすぐったさに体が跳ねた。 「は、っ、ん……っ」  ただ、体を洗われているだけ。  それなのにまるで、全身を丁寧に愛撫されているようで……。 「ツカサ、さ……っ。ん、ぅ……っ!」  カナタは、抱いてはいけない邪な感情を抱き始めてしまう。  艶っぽいカナタの声に、ツカサは当然気付く。  距離を詰め、カナタの耳朶に唇を寄せた。 「カナちゃんのエッチ。体を洗われているだけなのに、体がビクビクってしちゃってるよ?」 「は、ぁ……ん、ぅ」 「もしかして、誘ってる?」  ツカサの指が、カナタの上半身を這う。  大きな手は、カナタの胸をまるで揉むかのように包み込んだ。 「俺は真面目にカナちゃんの体を洗っていたのに、そんな風に意識されると俺も気になっちゃうよ」 「ぅ、あ……っ!」 「エッチなカナちゃんも可愛いけど、こんなに淫乱だとちょっと心配になっちゃうなぁ」  そして、ツカサの指先がある一点をかすめた。 「ひぅっ!」  上半身でも、上の方。  胸にある突起に、ツカサは指を滑らせたのだ。 「そこ、は……っ。そこは、だめ、ぇ……っ」 「洗っちゃダメなところがあるの? 体はちゃんと、普段から隅々まで洗わないとダメだよ? せっかくだから、今日は俺がカナちゃんを念入りに洗ってあげる」 「んっ!」  ツン、と。  ツカサの指が、カナタの乳首にわざとらしく触れた。 「カナちゃん、ひとつ約束して? 俺以外の人と一緒に、お風呂には入らないって。裸の付き合いはしないって、約束して?」 「ひ、っ、んん……っ!」 「ほら、カナちゃん。約束は?」  どこか責めるような声音で、ツカサはカナタに訊ねる。  存在の主張を始める突起に、ツカサはすりすりと指の腹を押し付けた。  普段からツカサに弄ばれ、立派な性感帯となってしまった箇所を何度も攻められ……。 「や、約束、します……っ。しますから、そんなふうに……やっ、優しく、触らないで、ください……っ!」  カナタはなすすべもなく、ツカサが望む答えを紡ぐことしかできなかった。  あられもなく懇願するカナタの耳朶に、ツカサはキスを落とす。 「優しいのは、イヤ?」 「ひぁ、っ!」  キュッと、つねるように乳首がつままれる。 「酷くされたいなんて、ヤッパリカナちゃんはエッチだよ」  そのままツカサは、カナタの弱点を嬲り始めた。 「いつからカナちゃんは、こんな淫乱な子になっちゃったのかなぁ……。誰のせい? それとも、誰かのおかげ?」 「あっ、んあ、っ!」 「乳首をこんなにコリコリさせて、指が触れただけで悦んで……。なのに、物足りなさそうな顔をしている。それは、誰が原因?」  乳首をつままれながら、カナタはツカサから投げかけられる問い掛けに耳を澄ます。  聞き逃せば、ツカサが機嫌を害してしまうかもしれないからだ。 「答えて、カナちゃん。カナちゃんがエッチな子になったのは、どうして?」  カナタからの言葉を、ツカサは楽し気に待つ。  そんなもの……。 「ツカサさんが、いっぱい……触る、から、ぁ……っ」  分かり切っていることだというのに。

ともだちにシェアしよう!