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6 : 13 微*
ボディソープが、体とこすれる音。
どこか淫らに聞こえるその音にすら、カナタは体を震わせてしまう。
「待って、本当に──ん、っ」
背筋を指が伝うと、ゾワゾワとした抗いがたい感覚が背を這う。
脇腹に指先が触れると、くすぐったさに体が跳ねた。
「は、っ、ん……っ」
ただ、体を洗われているだけ。
それなのにまるで、全身を丁寧に愛撫されているようで……。
「ツカサ、さ……っ。ん、ぅ……っ!」
カナタは、抱いてはいけない邪な感情を抱き始めてしまう。
艶っぽいカナタの声に、ツカサは当然気付く。
距離を詰め、カナタの耳朶に唇を寄せた。
「カナちゃんのエッチ。体を洗われているだけなのに、体がビクビクってしちゃってるよ?」
「は、ぁ……ん、ぅ」
「もしかして、誘ってる?」
ツカサの指が、カナタの上半身を這う。
大きな手は、カナタの胸をまるで揉むかのように包み込んだ。
「俺は真面目にカナちゃんの体を洗っていたのに、そんな風に意識されると俺も気になっちゃうよ」
「ぅ、あ……っ!」
「エッチなカナちゃんも可愛いけど、こんなに淫乱だとちょっと心配になっちゃうなぁ」
そして、ツカサの指先がある一点をかすめた。
「ひぅっ!」
上半身でも、上の方。
胸にある突起に、ツカサは指を滑らせたのだ。
「そこ、は……っ。そこは、だめ、ぇ……っ」
「洗っちゃダメなところがあるの? 体はちゃんと、普段から隅々まで洗わないとダメだよ? せっかくだから、今日は俺がカナちゃんを念入りに洗ってあげる」
「んっ!」
ツン、と。
ツカサの指が、カナタの乳首にわざとらしく触れた。
「カナちゃん、ひとつ約束して? 俺以外の人と一緒に、お風呂には入らないって。裸の付き合いはしないって、約束して?」
「ひ、っ、んん……っ!」
「ほら、カナちゃん。約束は?」
どこか責めるような声音で、ツカサはカナタに訊ねる。
存在の主張を始める突起に、ツカサはすりすりと指の腹を押し付けた。
普段からツカサに弄ばれ、立派な性感帯となってしまった箇所を何度も攻められ……。
「や、約束、します……っ。しますから、そんなふうに……やっ、優しく、触らないで、ください……っ!」
カナタはなすすべもなく、ツカサが望む答えを紡ぐことしかできなかった。
あられもなく懇願するカナタの耳朶に、ツカサはキスを落とす。
「優しいのは、イヤ?」
「ひぁ、っ!」
キュッと、つねるように乳首がつままれる。
「酷くされたいなんて、ヤッパリカナちゃんはエッチだよ」
そのままツカサは、カナタの弱点を嬲り始めた。
「いつからカナちゃんは、こんな淫乱な子になっちゃったのかなぁ……。誰のせい? それとも、誰かのおかげ?」
「あっ、んあ、っ!」
「乳首をこんなにコリコリさせて、指が触れただけで悦んで……。なのに、物足りなさそうな顔をしている。それは、誰が原因?」
乳首をつままれながら、カナタはツカサから投げかけられる問い掛けに耳を澄ます。
聞き逃せば、ツカサが機嫌を害してしまうかもしれないからだ。
「答えて、カナちゃん。カナちゃんがエッチな子になったのは、どうして?」
カナタからの言葉を、ツカサは楽し気に待つ。
そんなもの……。
「ツカサさんが、いっぱい……触る、から、ぁ……っ」
分かり切っていることだというのに。
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