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8.5 : 5 微*

 それからはもう、カナタのターンだった。  カナタは何度もツカサにキスを求め、触れ合いを求め。  時にはツカサを甘やかし、時にはツカサを褒めちぎった。  そして、今現在。 「早く、ツカサさん……っ。おっぱいに、キスして……っ?」  服をペロンとめくり、カナタはツカサに、よりエスカレートした要求をしていた。  薄い胸板が、ツカサの眼前に広がる。  毎夜甘やかされ、はしたないほど反応を示すカナタの胸。  それが今、カナタ自身の手によって晒されているのだ。 「カナちゃん、これはさすがに……っ」  据え膳食わぬは男の恥、とは言うけれど。  だとしても、この状況は大変よろしくないのだ。  第一に、カナタは冷静ではない。  にわかには信じがたいが、カナタはウイスキーボンボンで酔っているのだ。  いくら誘っているのがカナタ本人だとしても、この状況は果たして【同意の上】と言っていいものなのか。  カナタのことをなによりも大切にしたいと思っているツカサからすると、判断に困る状況なのだ。  しかし、カナタは不満そうに唇を立てている。 「オレのおっぱい、飽きちゃいましたか?」 「それは絶対にないよ。仮にも万が一にもありえない」 「じゃあ、キスしてほしいです」  『じゃあ』という接続詞が、どうしたってツカサには繋がっているように思えない。 「どうしちゃったの、カナちゃん。いつもはこういうの、恥ずかしがるのに」  この状況はおかしいと、カナタ自身に気付いてもらいたい。  そう思ったツカサは、無意味だとは分かっていながらそう言ってみる。  すると、カナタはクスリとどこか妖艶な笑みを浮かべた。 「オレだって男ですよ? 好きな人とエッチなことをしたいって欲求はあります」  そう言い、カナタはツカサの首に舌を這わせる。 「もしかしてツカサさんは、心のどこかで『カナちゃんは積極的になれない』って思っていましたか?」  カプリ、と。  カナタはツカサの首筋に歯を立てる。 「同じ男なのに男を見くびるなんて、ツカサさんは可愛い人ですね」  ──刹那。 「──その言葉、そっくりそのままカナちゃんに返すよ」  ──プツリ、と。  ──ツカサの中にあった理性の糸が、呆気なく切れた。  服が捲られたことにより露出したカナタの素肌に、ツカサは手を滑らせる。  その瞬間、カナタはビクリと体を震わせた。 「ぁん、っ!」 「いつも俺に喘がされているのに、今日は随分と勝ち気だね? モチロンそんなカナちゃんも可愛いけど、あんまり俺のことを揶揄うならお仕置きだよ?」 「ひっ、ぅあ……っ!」  胸の突起に指を這わせて、すぐにその部分をつまむ。 「お尻の穴を犯されて悦ぶような子に、男としてのなんたるかを説かれるだなんてね。ちょっと予想外だったよ」 「ひゃっ、あぅ……っ、ん、っ!」  普段よりも性急な愛撫に対し、カナタは小さく体を震わせている。 「ほら、どうしちゃったの? ココ、触ってほしかったんでしょう? それなら、ちゃんと『ありがとうございます』って言わなくちゃ」 「や、あっ、んん……っ!」 「一人で気持ち良くなっちゃうなんて、カナちゃんは悪い子だね? それとも、そんなに俺からお仕置きされたいのかなぁ?」  ツンと尖った乳首を、ツカサは強くつねった。  そうすると、カナタがツカサに腕を回す。  そのまま、震える唇で紡いだのだ。 「ん……っ、されたい、です……っ。ツカサさんから、エッチなお仕置き……され、たい、ぃ……っ」  すぐに。 「そんなにおねだりされたら、お仕置きじゃなくてご褒美になっちゃうんじゃないかなぁ」  ツカサはゆるりと、口角を上げた。

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