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11.5 : 7 *
就寝の準備を互いに終わらせた後、ツカサは普段と同じようにカナタの部屋を訪れていた。
「じゃあ、おやすみ。今日も大好きだよ、カナちゃん」
「はい、おやすみなさい。オレも、ツカサさんが大好きです」
いつもなら、もっと過激な触れ合いの後に交わす言葉だ。
しかし今のカナタは、ツカサに背を向けている。ツカサも約束通り、カナタには指一本触れていなかった。
そこに寂しさを感じてしまうのはお門違いだと分かっていながらも、カナタは意味もなく自身の手をキュッと握ってしまう。
そもそも、いつもよりもツカサがカナタの部屋にやって来るのが遅かった気もする。それがまた、カナタの寂しさを助長させていた。
──やはり、今すぐ素直に謝るべきか。
──だがしかし、ここで謝ってしまうとそれはそれで格好悪い気もする。
不必要なプライドのせいで悶々とし続けて、いったいどのくらい経ったのか。
「……カナちゃん、起きてる?」
背後にいるツカサが、静かな声でそう呼びかけてきた。
ハッとしたカナタは、慌ててモゾモゾと体を動かす。なんと言っていいのか分からず、カナタは思わずボディランゲージに頼ってしまったのだ。
「ふふっ、良かった。まだ、起きていてくれたんだねっ」
妙な違和感を抱いたのは、最初の笑い声だ。そして、なぜか弾んでいる語尾も、不思議だった。
……その時点で、カナタは気付くべきだったのかもしれない。
──カナタにとっての誤算は、ツカサの『ずる賢さだった』と。
「ねぇ、カナちゃん。もう、いいよね? 触っても、いいんだよねっ?」
「……は、いっ? なにを、言っているんですか? オレ、今日は駄目って──」
「うん。だから、もういいよね?」
ベッドが小さく揺れて、カナタの視界に薄明かりが映った。
「──ホラ。もう【日付は変わった】からさっ?」
カナタの目の前に映し出されたのは、ツカサが持つスマホの画面。
──厳密に言うと、ゼロ時ゼロ分を示す時計だった。
瞬時に、カナタはツカサの言動を全て理解する。
「な……っ! ひっ、卑怯ですっ! そんなのっ、揚げ足取り──」
「カナちゃん、大好きっ。やっと触れる、やっとカナちゃんとイチャイチャできる……っ。あぁっ、幸せ……っ。大好きだよ、大好き。好きで好きで、大好きで愛おしくて大切で、もう手放したくないよ、カナちゃん……っ」
「ちょっと、ツカサさん──あ、っ!」
ツカサの冷えた手が、すぐにカナタのズボンへ差し込まれた。
そのままツカサはカナタのズボンを下げ、カナタの小ぶりな尻を揉み始める。
「やっ、オレ、怒ってるのに……っ」
「カナちゃんの言い分は分かっているよ? だから、ちゃんと待った。……でも、もうムリ。可愛すぎて、我慢できない……っ」
「ばかっ、ツカサさんの馬鹿……っ! あっ、ん……っ」
「もう、いいよね? もう【今日】は終わったから、カナちゃんは怒ってないんだよねっ?」
すぐに、ツカサの指が下着の中へ入ってきた。
その指がカナタの秘所に触れ、そのままゆっくりと挿入されていく。
「んっ、んぅ……っ!」
「仲直りのエッチ、シよ? 俺、カナちゃんのこといっぱい気持ち良くするからさ。だから、仲直りしよう? ……ねっ?」
「そこ、引っ掻いちゃ──あ、ぁ、ッ」
指先が、カナタの弱いところを何度も弾いた。
「挿れたい……っ。カナちゃん、挿れてもいい?」
「だめ、ですっ。やだっ、やだ……っ」
「でも、俺が『挿れたい』って言ったら……カナちゃんの、ココ。物欲しそうにキュゥッて締まったよ?」
カナタの背後で、ツカサは身じろぐ。
「だったら、同意だよね。これは正当で、合意の上だ。……あはっ、幸せっ。素直じゃないツンデレなカナちゃんも、新鮮で凄く可愛い……っ。興奮、しちゃうなぁ……ッ」
こうなったツカサはもう、カナタでも止められない。
ツカサがさらに身を寄せた時、カナタは心の奥底で観念したのだった。
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