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しっかりとナカに劣情を注がれたカナタは、荒い呼吸を必死に整えようと努めていた。
だが、今日のツカサは本人の発言通り、余裕がないらしい。
「っ! だ、だめっ、ツカサ君……っ! お尻、今は揉んじゃだめぇ……っ」
カナタから逸物を引き抜いてすぐに、ツカサはカナタの臀部を揉み始めたのだ。
小振りな尻を両手で掴みながら、ツカサは口角を上げた。
「凄いね、カナちゃん。俺が出した精液が、お尻を揉むとグチャグチャッてエッチな音を立ててる。カナちゃんの体、凄くエッチだよ」
「それは、オレのせいじゃ──あっ、先っぽ、当たって……っ! んっ、んぅ……っ!」
カナタが反論しようとすると、引き抜かれたばかりの逸物が、揶揄うかのようにカナタの後孔を擦り始める。
ツカサは恥ずかしがるカナタを堪能しながら、再度……逸物を挿入し始めた。
再び、愛しい人と繋がる感覚。カナタは背を反らし、快感にその身を震わせた。
「はっ、ぁん……っ! 気持ちっ、いぃ……っ!」
「挿れただけなのに、イッちゃったみたいな顔だね? ホント、エッチで可愛いよ」
「んっ、ん、ッ!」
体を下から揺さぶりつつ、ツカサはカナタの顔にかかった髪を指で払う。
「ねぇ、カナちゃん。……俺のこと、好き?」
「そんなの……勿論、好きだよ……っ?」
「誰よりも一番? 俺以外にこんなことさせない?」
「させ、ないよ? どうして、そんなこと訊くの……っ?」
「じゃあ、カナちゃんには俺だけ? 俺を嫌いになったりしない? ねぇ、ねぇ?」
すぐに、カナタは気付く。どうやら今日のツカサは、かなりの甘えたモードらしい。
「今日はまた、カナちゃんへの気持ちが上限を突破したよ。ホント、いつになったら俺のカナちゃんに対する気持ちは落ち着きを見せるのかな?」
「あ、あっ!」
「抱き締められて、嬉しかったなぁ。泣いている俺も受け入れてくれて、弱った俺を肯定してくれてさ。ホント、カナちゃんは俺を甘やかす天才だね。天使だよ、天使。……そう考えると、凄いね? 俺、生きているのに天使を見ている。生きているのに、天国にいるみたいだ」
「はっ、あぅ、っ!」
笑ってはいるが、ツカサはカナタを犯す動きを決して止めない。
「天使を犯しているって思うと、胸に広がる背徳感が言葉にできないほど強烈だね。……ねぇ、どう? 俺に抱かれて、カナちゃんはどんな気持ち? 俺と同じく、多幸感でいっぱいかな? ねぇ、教えてよ、カナちゃん?」
「ん、もう……っ。……分かっているくせに、酷いよ……っ」
「天使に罵られちゃった。でも、それも悪くないね」
「ツカサ君……っ」
すり、と。カナタはツカサに顔を寄せて、鼻先を擦り合わせる。
「──もっと、オレに集中して……っ」
カナタからのオーダーに、ツカサは少しだけ瞳を震わせた。
「……ごめんね、カナちゃん。ちょっと、茶化しちゃってたかも。……でも、赦してほしいな。こうでもしないと、キミという熱で理性が溶けてしまいそうで。呼吸も忘れて、カナちゃんを深く深く愛してしまいそうなんだよ」
ツカサなりに、余裕を保とうとしていたらしい。年上彼氏のなんともいじらしい姿に、カナタは思わず甘やかしモードに入ってしまう。
「んっ、いい、よ……っ? オレも今、同じだから……っ。……呼吸、へたっぴでしょ……っ? だから、同じだよね……っ?」
連続で絶頂を迎えさせられ、それでも休ませてもらえない。決して体育会系というわけでもないカナタからすると、息が乱れるのは当然だ。
しかしカナタは、それをツカサと『同じだ』と言いのけた。そんな甘さに、ツカサは破顔する。
「天使なのに、小悪魔ちゃんだね。ヤッパリ、カナちゃんは俺にとって到底敵いっこない、魅惑的な子だよ」
行為によって熱を帯びたのか、普段とは違い温かい指先が、カナタの頬を撫でた。
「──愛しているよ、俺だけのカナタ」
「──ッ!」
普段と違う、呼び方。たったそれだけのことに、カナタの胸はキュッと強く締め付けられる。
「……っ。ツカサ君、今の……イッちゃいそうだった……っ」
「なにそれ、可愛いなぁ。その言葉で俺もイっちゃいそうだよ」
恥じらうカナタを見つめて、今度はツカサが顔を近付けた。
「たまには、こういう呼び方も効果的みたいだね。……好きだよ、カナタ」
「~っ。……オレも、ツカサ君が好き……っ」
そのまま、どちらからともなく顔を寄せて。
二人は何度目か分からないキスを、互いから交わした。
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