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「狙いは完璧だ、ヴォルツ」  彼女の低めの声に、チラリと背後へ視線を向けるヴォルツ。今にも彼女のことを射抜きそうな姿はそのままに、口を開こうとしない。 「そう睨むな。一応褒めたつもりだが?」 「別に。エリサを睨んだつもりはない」  ヴォルツは低い声でボソボソと呟くと、エリサから視線を逸らして銃をロックする。 「ヴォルツ、今日の練習はもう終わりだ。行ってもらいたいところがある」 「承知した」  再びエリサに視線を向ける。表情は変わらず無という表現が正しいが、瞳から殺気が消えていた。  エリサはヴォルツに近付いていき、小さな紙を渡す。折りたたまれたそれには、地図のような案内が描かれている。  すぐにそれをポケットにしまい、手に持っていた銃も上着の内側へと入れ、エリサに一言も声を掛けることなく歩き出した。その方向の先には、建物が並ぶ街の中心がある。  ヴォルツの後ろ姿を眺めながら、エリサは再び煙草を咥えて煙を吐き出す。  ようやく吸い終えた頃には、ヴォルツの姿はとても小さくなっていた。

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