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9.接客練習の件 続
「ミズキ、そのオーダー仕上げたらちょっとこっち来てくれる?カイセーの接客練習の相手してほしいんだ」
「はーい☺️」
えっ???うそでしょ?
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このあとミズキ先輩に練習付き合ってもらうとなって、気合いが入りまくったおれはナリタ店長と猛練習してどうにかサマになるように頑張った。で、「お待たせしました」とミズキ天使先輩がフロアのほうにやってきて、緊張がMAXになる。
今日の先輩もやっぱめちゃくちゃカワイイ。
元々おれはドジっ子眼鏡ロリメイド(巨乳)とか「八雲さんは餌づけがしたい。」の八雲さん(巨乳眼鏡の未亡人)とか、ようするにちょっと天然入ってる眼鏡巨乳の女の子が好きだったんだけど、天使先輩はそれとは全然別ジャンルでカワイイんだ。っていうか次元が違う。比喩ではなく、あー、その、カワイイんだ、マジで。
カワイイとしか形容できないおれの語彙力を呪うくらいにはカワイイ。
たぶんパーマとか掛けてるんだろう、ふわふわの金髪はちょっと根元が伸びて地毛の黒髪が見えてる"プリン"状態になってて、それがまたかわいくて親近感ってかんじ。
当たり前のように背中には羽根が生えてて(おれフィルター)、ふわふわ、ぽふぽふ歩きながらこっちに来る天使先輩はマジで天使すぎ。
「接客練習ですか?☺️🌸」
「そ!そしたらミズキはお手本としてテーブル案内からメニューまでやってもらって、カイセーはお客さん役やってくれる?」
「はい」
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カランカラン♫🚪
「いらっしゃいませ。一名様ですか?」
「はい」
「テーブルご案内しますね、こちらへどうぞ」
🚶🚶...
「こちらメニュー表です。当店は初めてですか?」
と言いながらミズキ先輩はテーブルにフォークとナイフが入ったカゴ(?)とお水を置いてくれる…ってあれ?いつの間に?
「あ、えっと、何度か来てます」
「ふふっ。いつもありがとうございます」
とドモったおれに愛嬌で笑ってくれて、あ、笑ってくれた…!って嬉しくて赤面するおれ。
「"本日のパスタ"は鶏肉とバジルのパスタです。美味しいのでぜひご賞味ください☺️ではお決まりになりましたらお呼びください☺️🌸」
はあ…カワイイ……………マジで天使………
「オッケ、ありがとうミズキ。どうだ、カイセーは流れ掴めたか?」
「あっ?はい、えっ??」
「じゃあミズキのお手本見てもらったし、次はミズキがお客さん、カイセーがオーダー練習な」
その後、お手本を習うというか、すっかりミズキ先輩に見惚れてしまっていたおれは全然波に乗れず、しかもミズキ先輩に見られてる状況では緊張しすぎて実力(?)を微塵も発揮できず、コテンパンにプライドが折れてしまった……
「今日の練習はここでおしまい!カイセーはよく頑張ったな。勤務時間あと30分残ってるから、チラシ折りの内職やってもらって、今日はそれでおしまいにしよう」
「はい…」
時刻は1630。平日ど真ん中のこの時間はお客さんも少なくて忙しくないみたい。
お店の名前やメニュー、QRコードクーポンが印刷されたハガキサイズのチラシを三つ折りにする作業を任されたおれが段ボールひとつぶんあるそれを一生懸命折り折りしていると、ミズキ先輩が来て、手伝ってくれた。
「お疲れカイセー☺️」
どうやらこの店ではみんな下の名前で呼び合うのが決まりらしい。
ミズキ先輩から初めて下の名前で呼ばれたおれはキュンと胸が鳴って「お疲れ様です!」とドデカ声で言ってしまい「声でか〜!」と天使先輩にきゃらきゃら笑われる。キュン…笑顔カワイイ…
「今日でバイト2日目だよね?ナリタ店長からすごい頑張ってるって聞いたよ」
「へへ…そうですかね……」
「まだまだ慣れないでしょ」
「ッスね…」
「みんな最初はそんなもんだよ〜ミスしまくってなんぼってかんじ」
落ち込んでるおれを、そう言って励ましてくれる天使先輩。ほんとに優しい。カワイイ。おれの癒しの天使…あぁ、先輩のあったかい白魔法みたいなぽやぽやしたオーラで、瀕死状態だったバロメータが急激に回復していく……
「そういえばミッ…ミズキ先輩も最初…?」
店長が言ってたことを思い出して、話題を振るのにかこつけて先輩の下の名前を呼ぶことに成功!!😭🙏✨あぁ神さま、店長さま、下の名前で呼び合う習慣をカフェにもたらしてくださってマジでありがとうございます…!!
「うん、僕もむかしヤバかったよ〜コップとか割りまくりでさ〜、1日で3つ割っちゃったときはさすがにショゲたもん😂😂」
「先輩が!?想像付かないッス!」
キッチンもフロアもこなせるカンペキな先輩が昔そんな失敗してたなんて、って意味で言ったら、ミズキ先輩はちょっとムッとした演技で「どういう意味だよ〜」ってグーパンチでこづいてきた。
なに??怒ってグーパンチしてくる天使先輩まじでカワイイんですが????
「ミズキがやらかしたのはアレだろ、発注ミスってパンが30ケース届いて、返品もできなくて、店の前で超大安売りの叩き売りした日だろ」
「あーー!店長やめて😂😂😂」
「それと…」
「あーーーっ!!!わわわーー!!😂😂😂」
ナリタ店長も来て暴露話を始めてきて、それを大慌てで取り消し&あっちいけ!とばかりに店長の広い背中を押してバックヤードへ追いやろうとするミズキ先輩。
「30ケースってどれくらいなんですか?」と店長に訊くおれ。
「ほんとは30個だけ発注するところを間違えて30ケースって入力して、15個×30ケースで合計450個届いたっていう話だよ あの日の朝、配達トラックが大量にパンのケース下ろしてくるの見てびっくりした(笑)」
「店長〜〜〜💦」
過去のやらかしを暴露されたミズキ先輩は、泣き笑いしながら店長の背中をグーでぽこぽこ叩いてて非常にカワイイ😭自分で言う分には良いけど、ひとから暴露されると急に恥ずかしくなるのわかる〜(泣)
フロアからキッチン、発注まで任されて、バイトリーダーっぽい立ち位置の先輩のちょっとドジな一面を見られたおれは心臓キュンキュンしっぱなし。
バイト歴長いと店長とあんなふうに絡んだりできるんだ〜っていうのと、そのふたりの間の絶妙な空気感とか距離感が羨ましすぎた。
おれも早くバイトに慣れて、あんなふうにミズキ先輩とたわむれたり、じゃれ合ったりしたいっス…(泣)
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