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23.デート 映画館の件 続
上映時間のすこし前。劇場内への入場が開始してすぐ、ふたり並んで座席に着いた。
上映前の時間って、映画内容そのものへの期待もあるし、非日常感があってドキドキする。しかも隣には"あの"ミズキ先輩がいる訳だし。カッコ悪いとこ見せるわけにいかないから自然と背筋もしゃんとしちゃう。
「キャラメルポップコーン久々に食べた〜めっちゃうまい」って、ふたりの間に置いたポップコーンをひょいぱく、ひょいぱくと齧ってる先輩は緊張の「き」の字も見えない。
じゃあおれも失礼して…とホットチリドックを一口がぶりと頬張るおれ。
「おいしい?」
「まあまあスね…もぐもぐ…そんなに辛くはないスね」
「一口ちょうだい」
「へぃ」
ホットチリドッグを持ったおれの両手を取って顔の近くへ持っていき、端っこをがぶりとする先輩。
「…………///////😳」
「ん〜ほんとだ、辛すぎないからちょうどいいね」
「…ッスね……(/// ¬_¬;)」
…この前のリブトン・プレミアムアールグレイティーラテの件といい、この先輩にとって"同性間での食品の共有"はごく当たり前に行われる日常的な行為なのだろうか?
「っていうかカイセーさ、甘党なのに辛いもの好きって矛盾してない?」
「…甘い・辛いを往復するのが良いんスよ………(/// ¬_¬;)」
「なにそれ飴と鞭みたいな(笑)もしかしてMなの?(笑)」
「??( ˘•ω•˘ )Mでは無いッス」
「(笑)そっか〜〜〜(笑)変なこと聞いてごめんね(笑)(笑)」
たしかにいじめっこ(S)かいじめられっこ(M)かでいったら後者かもしれないけど、イジメを受けた経験は過去に無いし。先輩の質問の意図する所がよくわからなかった。
「…………。あ、そうだ!ぼくちょっとだけ手相見れるんだ、カイセーの見てあげるよ」
「?」
言われるままにぴょいと手を出すと先輩のあったかい両手に握られて、手のシワをよく見ようとしてあちこちの角度からこねくり回される。スクリーン前のうす暗がりのなかで体温が感じられるほどの距離で隣同士で座っているのに、吐息がかかるほど顔を近くに寄せられて…直接的な身体接触でドギマギしてしまって汗がヤバい。
「やばいウケる(笑)生命線めっちゃ長い(笑)(笑)100歳超えるんじゃない(笑)」
「はぁ……」
「感情線はね〜〜真面目で気使い屋さん」
「当たってますね」
「(笑)あとコツコツ貯蓄するタイプ」
「あ〜〜…貯蓄…できたらいいッスね…」
今回のバイト代は親への借金返済(免許・バイク代)と今日のデート代で消える予定なんだけどね…ははっ…必要経費だ…
「あとこれはね〜、」
「?なんスか?」
「エロ線♡」
「ッ〜〜!?!?!?!?!?!?///////🌋🔥🌋🔥🌋🔥🌋🔥🌋🔥🌋🤪⁉️⁉️」
「ぼくもあるよ♡ほら♡ここ♡見て♡ねえ見てってば♡」
「いやちょっと…待っ…/////」
「ねえなんで見てくれないの(笑)ただの手相じゃんって(笑)ねえねえ(笑)(笑)(笑)」
お手手ニギニギされるだけでもヤバかったのにこんな場所でとんでもないことを言い出したのにはもう限界で、調子に乗りまくって手が付けられないことになってる先輩と「いやいや💦」と真っ赤になって顔を背けてしまったおれとの攻防がしばらく続いて、ようやく映画が始まった。
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