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 これまで星の数ほど献上した人間から数えても、例外は両手に余るといっても過言ではない。ほとんどが、体調を崩したままもがき苦しみ、命を落とす。 「よってお前らに与えられた未来は二つのみ。核種胎を取りこみ心身に異常をきたし、死ぬか。核種胎を取りこんでもなお生命をつなぎ、獣人の子を身籠るか、だ」 「……は、……。なんで、そんな……。ふざけてる……っ。俺たちは実験動物じゃないです。こんな……こんなの、ひどすぎる」  平然と説明する魔術師は、ルトたちが人間ではないと思っているのかもしれない。ルトよりずっと透きとおった若草色の瞳には、目の前の少年たちが死びととして見えているのかもしれない。それでも。  ここでわかりましたと、納得などできるはずもない。無謀にも腹が立った。  幼く、年端もいかぬ少年にも己の意思がある、家族がある、未来がある。希望だって、あっていいはずだ。それは誰かに奪われるものではなくて。庇護を求め得られることはあっても、小さな存在を無残に蹴散らされるものではない。  薄い唇を噛みしめながら、ルトは透明度の高い紫水の瞳を潤ませた。両の瞳にこみ上げるのは怒りか悔しさか、虚しさか――諦めなのか。  だが魔術師は冷淡に、ルトの嘆きを一蹴した。 「このツエルディング後宮に入った時点で、お前らの未来は獣人が握っているのだよ。なんの力も持たないその脆弱な肉体も、未熟な精神も。幾度と浮かんでは消え去る、泡沫うたかたのような命でさえ」  ゆえにルトたちは試された。核種胎をその身に取り入れても生き残れるかどうかを。  獣人の目的は、子を孕ませ己の種族を確実に残すこと。核種胎なぞに、やすやすと命を脅かされるものが、もとより新たな生命をその身に宿せるわけがないのだ。

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