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 数人の魔術師が、状況を把握してざっと目の前の少年たちを眺める。忌々しい記憶が残る大広間に、ルトたちは再び集められた。五十人のうちルトを含めた四十一人が生き残った。  ルトの隣で寄り添って立つのはエミルだ。一度は死を覚悟したエミルは、核種胎で異変を感じても、ごくわずかに生き残れる例外であった。 「おお、此の度は、完成体がいるのか。すばらしい」  魔術師のひとりが感嘆たる声をあげた。その声にエミルの身体が、目に見えて跳ね上がる。エミルの身体は……核種胎の力によって、完全に作り変えられていた。体内に種を入れて一時的に子を孕む偽子宮ではない、女性器の形成だ。  発覚したのは数日前だった。  核種胎で不調をきたしたエミルは生死の境をさまよった。いちばん初めに命を落とした少年のように、夜中にもがき続けた。風前の灯火かと思えた命はだが燃え尽きはしなかった。  一晩中付き添っていたルトがか細い吐息に安堵して、明け方に覗いたら……。寝台の上で茫洋と目を開けたエミルの下半身が、血で、染まっていた。  驚愕の事態に焦って飛報石を使うと、すぐにやってきた魔術師が告げた。若草色ではない、初めて見る魔術師だった。 「これは……女性器が作られている。すごいぞ、完成体だ。核種胎で作られた女性器は、子を孕みやすいんだ。さっそく皇帝陛下に申し上げよう」  女性器。完成体。信じられない言葉を、魔術師が興奮した様子で並べ立てた。身体を震わせたエミルは、真っ青になっていた。  なぜエミルだけが、例外を成し得たのかはわからない。もしかしたら、魔術師にはわかるのかもしれないが、彼はルトたちにいちいち説明する気はないらしかった。  男の性でありながら、意に添わず、女の性まで強制的に作られた。しかも、核種胎で作られた子宮は、獣人の子を孕みやすいという。  すぐ傍で息を止めたエミルの不安は、ルトには計り知れなかった。 「よいか、ではこれからについて説明する。二ヵ月半のあいだ核種胎を取り入れ続けたお前たちは、獣人の子を確実に孕めるものだ。このときよりお前たちの存在は、昼夜問わず獣人を受け入れることにある」 「昼夜問わず?」  魔術師の言葉に思わずルトは問い返した。昼夜問わずとはどういうことだ。今までは三度の食事をし、夜には寝台に入る。与えられた毎日とはいえ、規則正しく生活していた。それさえもなくなるというのか。

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