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 驚いたルトの喉からひしゃげた音が出た。気がつけば、ラシャドの端正な顔がすぐ後ろにあった。ほぼ真上から見下ろしてくる、漆黒の瞳が妖しく狭まる。ルトの丸い頬に冷や汗が伝った。 「い、いや……、なんで」  なんで、この獣人はルトを執拗に狙うのだ。小さな問いかけに、ラシャドは軽薄な笑みを浮かべた。 「言ったろ。てめぇをいちばん最初に孕ませるのは俺だってよ。心配しなくても、用が済めばすぐ解放してやる。お前らは獣人国全員の孕み腹だ。俺のあとは、知らねぇ奴らのガキでもなんでも仕込まれてろ。まずは俺の番だ、行くぞ」 「ど、どこ、に……」 「あ? んなもん決まってんだろがよ。お楽しみに使う部屋だ。ここで混ざって、他と一緒に輪姦まわされてぇか」  部屋のことを聞いてないのかと、獣人は片眉をあげる。そんな部屋があるなんて聞いていない。ルトは強張る顔を横に振った。だが、尋ねたくせに詳しく聞かせる気はないのだろう。ラシャドは混乱するルトを片脇に挟み、勝手知ったる場所とばかりに歩きはじめた。  抱えられたルトの視界がいっきに高くなり、目の前で広がる悲惨な光景をはっきりと映す。 「ははっ、こりゃたまんねぇな。どいつもこいつも、やわらけぇ身体してやがるわ」 「んっ……、ぁ、うぅっあぅ……」 「ぃぐッ、っ、ふっ、かぁっ」 「おら、もっと泣き叫べよ、そらよっ、おらぁッ!」 「ぐひぃ――っ、んがっ、おォ、ご……ッ」  ああ、これが、この狂った淫行が、これからルトの日常になる。盛った獣人の数が多すぎて、ルトたち数十人ではとても足りていなかった。  獣人の逞しい男根が、みすぼらしい少年の尻を自由に出入りする。さらに待ちきれない獣人が、仰向けに揺すられる少年の口を塞ぐ。細い、折れそうな腕が、苦しげに宙へ浮いた。  エミルは……無事だろうか。エミルの相手も二人だった。あんなふうに、同時に二人も受け入れているのだろうか。あの幼い、無垢な身体に。無理だとわかっていてもどうしても守りたかったのだ、できることなら。  むせ返るような、臭気と熱気と怖気と狂気と。身の毛がよだつ大広間を、ルトは遠ざかる視界で虚ろに見つめ続けた。 *** 「ここが使ってねぇな。ほらよ」  後宮に備えられた一室に引きずりこまれる。室内に入るなり丸裸に剥かれ、ルトの軽い身体は中央のベッドに投げ捨てられた。獣人の巨体が、三人は余裕で寝られそうなベッドが、ルトを受け止めて大きく沈む。 「う、……っ」

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