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 喉に張りつく声を、ルトはどうにかひきつらせて押し出した。ラシャドに組み敷かれた身体が勝手にぶるぶる震えだす。か細い両腕が、しわくちゃのシーツを滑り、ぎゅっと握り締めた。軽口を叩く二人の間から逃げようと、握る腕に力を入れる。だが逃げられるはずもなく。 「ゃ、う、で、で、できな……ッ」 「――おい、抜けねぇっつってんだろ。諦めて咥えてやれ」 「や……っ」  無理だ。咥える、なんて。そもそもルトの口に入りきるものじゃない。どう考えても絶対にできないのだ、挿入らない。  ルトに迫る陰茎は見た目だけでも三十センチはあるだろう。今、ルトの腹中にいるラシャドよりも細いかもしれないが、それでもルトの貧相な男性器とは格段の差だ。  そのうえ長大な陰茎は、ところどころ瘤ができて緩く上下に折れ曲がり、人間ではありえない形だった。小さな顔の横に寄せられるエグモントの先端は、ルトの喉元をゆうに越す。 「む、むりっ、むり……っ、は、な、は、はい、らな……ぁっ」 「だぁい丈夫だって。初めはみんなそういうんだよ。ね? でも慣れたらクセになるんだって」 「ぃやあぁぁ、お、ぉ、ぇが……っ、お、がいっ、ゆるして、ゆるしてっ」 「大丈夫、ほら、ゆっくり息をしてごらん」  恐怖で舌さえ固まっていた。まともに言葉も紡げずに、激しく呼吸が乱れ、全身からびっしょりと冷や汗をかく。優しい声音で息をしろというが、呼吸を吸っているのか吐いているのかさえわからなくなる。  それでも目の前の獣たちは決してルトを逃さない。捕食した獲物の腹を残酷に裂き喉を食い破り、血肉が巡る内臓にむしゃぶりつくのだ。骨の髄まで。  みっともなく鼻の穴まで大きく開いた。固定されて見開く目の先で、凶器がルトの口内に迫るのをただじぃと眺める。なんとしてでも拒絶しようと、奥歯を噛み締める赤子のような抵抗は、大男の数本の指先だけで阻止された。突き出した顎先をぐっと掴まれて力も入らない。歯があたらないように、小さな口を限界まで開かされた。 「いくよ」 「ぅ、ぐぅ、ぉ…っ、ぐ…っぅ……っ、ッ、ぉえ――ッ、んぉ……ッッ!」  ぱかりと開いた口腔に、エグモントの滾る陰茎がずぐんと突き刺さった。先走った、ぬめる糸がどろりと垂れて、丸まる舌の上を這う。生臭い匂いと味が口内に漂い、開かれたはずの喉が潰されて呼吸が詰まる。柔らかい口腔の奥を擦られて嘔吐いた。

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