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 だが身体はどんなに慣らされてもルトの心は本当に嫌なのだ。心は遠く離れて、身体だけが慣らされてゆく。それは辛いルトの事実だ。置き去りにされた心はひとりぼっちで震えたまま。いずれ、人知れず凍りついてしまいそう。  いつもは極限までこらえるルトの涙は、壊れた蛇口のようにぼとぼとと水滴を流した。紫水の瞳が涙で盛り上がっては溢れ出る。今抱かれたら孕んでしまう。ずっと耐えていたのにここにきて、自分の感情も溢れ出してしまった。 「んふっ、ふあっ、ぅ……っ、も、嫌っ、いやぁぁっ……ねがっ、おねがっ、やめてっ。ゆる、許してっ」 「奥まで挿れて注いでやる……受け入れろ。お前は孕み腹だ。これからお前は、俺の子を孕むんだ」 「いやぁっ!」  立場をわからせるようにラシャドが勢いよくルトの中から数本の指を引き抜く。呼吸ひとつで抜け出た刺激に身体をくねらせて悶えた。  散々粘膜を擦られて敏感になったルトの肉壁は、吸いつく締めつけでラシャドにも伝わっているはず。いつもより情け容赦なく乱暴に抜かれた動作は、拒絶したルトを責めている動きにも思えた。  ルトの絶叫が響くなか、滾った剛直がルトの中心を割り裂いた。 「んは――ッ、あぁ、あぁっ――ぃッ、ア」 「まだ、もっと奥だろ。欲しいのは」  衝撃でシーツの上をずり上がる。しかし強引に繋がる部分が抜け出すことはない。震える細い腰を片手で大きく包まれて、力任せに引き寄せられた。 「あぁ!」  正面から挑まれたルトの腸内でゴツンと鈍い音がする。押さえつけられた細腰が宙を浮いた。跳ね上た拍子に薄い腹が突き出て、ラシャドの形をより一層浮き上がらせた。  剛直が腸壁を擦る度に、刺激を与えられるルトの腹がびくびくと盛り上がる。角度を変えて突かれれば薄い皮膚の下で、脈動する淫らなラシャドの収縮さえ浮き彫りにされるから気が狂いそうだ。

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