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9-(9)※
柔らかな粘膜を突き破りやり殺されるかもしれない。目の奥がちかちかと弾ける。腸壁に何度も男根を埋めては抜き出され、敏感な部分に焼けつく刺激を与えられた。
「ぁうっ、ぇっ、あッ、ァう、っ、っ……ッッ!」
じゅぷじゅぷと音が響き水中で喘いでいる気分になって、シーツを握り締める手を空中に投げ出した。
空を切り、のたうったルトの手を、ラシャドがぐいと掴みあげる。力強く抱き起されて、下からがごんっと穿たれた。骨まで砕こうかとする一突きでようやくラシャドの動きが止まった。
「はっ――」
漏れた吐息がどちらのものかさえわからなかった。埋めこまれた太い根元がぐんと瘤を作る。やっと解放されるのだと、小さな身体から力が抜けた。しかしルトの心はひどく怯えた。
このままいつものように、数十分もかけて大量の精液を出されたら……孕んでしまう。昂ぶられた身体が急速に冷えていく。
「ぁ……い、いやっ、いやっ、やめて、中に、出さな、でっ、こ、子種が……。放してっ、やだぁっ」
掴むラシャドの手を振り切って、繋がったままどうにか腹ばいになりシーツの上をずりあがった。けれど体内に居座るラシャドの根元が結合した入り口で堰き止めて、這い進むことはできなかった。
「足掻いても無駄だ。諦めて受け入れるんだ。お前は孕み腹で、奴隷でしかない。お前の中に俺の種を出すぞ、大量の精子をな。最後の一滴まで絞り出して、こぼれないよう詮をしてやる。一回で孕むぞ、確実に」
「もうゆるして、も…いやぁぁ……っ」
ルトの腹をとおして巨大な陰茎が膨張して脈動した。どくどくする濁流が、ルトの腹奥で放流をはじめる。
体内で弾ける熱を感じ、シーツに顔を埋めた態勢で白い身体が小刻みに震えた。くぐもった泣き声ととめどない大粒の雫が、シーツに吸いこまれていく。
藻掻く背後でラシャドが覆いかぶさってきた。震える肩を握り掴まれ、うつ伏せた身体を反転させられた。
泣き濡れるルトの瞳が、無言で見下ろす漆黒の瞳を映す。いつにない真剣な眼差しと表情にルトの喉が大きくしゃくりあがった。いつも軽薄で己の快楽に従順で。ひたすらルトを、嬲り犯すだけのくせに。
傲慢な物言いとは裏腹に、子を孕ませるこの瞬間だけは軽々しさは微塵も感じさせないなんて。子を孕ませる――口を閉ざすのに雄弁に語るラシャドの本気を肌で感じた。
いつまでたっても勢い止まらぬ放出を腹奥の中で受けとめながら、涙で滲む視界で、ルトはぼんやり空中を眺めていた。
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