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 力加減はしたが、それでも強かったのだろう。真下で苦痛に歪んだ顔を見て力をさらに緩めた。 「細ぇな」  あまりの細さについ間抜けな声が出る。無理やり押さえつける白い身体は、幼い頃から剣を振り回す肉体とは正反対だ。ほんの少し力を入れただけで、華奢な骨ごと砕いてしまいそうになる。  怯えを滲ませる大きな眼差しを至近距離で見下ろして、白い頬に片手を添えた。ふっくらした丸い形を、肌の柔らかさを、高い体温のぬくもりを。自分とは何もかも違う部分をひとつずつ確かめた。  最初に見つけたときから望んでいた。ようやく、自分の子を孕んだ。確かな存在がここにあることを実感したら、こみ上げるものを感じた。それはおそらく、情というものを。  孕み腹には脱がしやすい一枚の服しか与えられない。前開きのボタンは、指で押さえて簡単に留められるものだ。片側の丸襟を引っ張れば、いともたやすくプチプチと音を立てて服がはだけた。 「ああ――っ」  つんざくような、堪えられない悲鳴が上がる。はだけた隙間から淡い突起が丸見えになった。小さな胸がせわしく上下してラシャドを誘う。いつまでたっても身を硬くするルトを、自身の重みで押さえつけ、露わになった肌に武骨な手のひらを滑らせた。  手触りのいい、きめ細やかな素肌をじかに撫でさすれば、ぴくんと柔らかな身体が震えた。 「あ……っ」  健気に色づく突起ごと硬い手のひらで押しつぶして愛撫すれば、ラシャドの目の先で細い首筋がわずかに浮く。目線をやれば、紫水の目じりが泣き出しそうにほんのり朱色に染まっていた。  薄い唇を噛みしめて必死に声を抑えている。震える吐息が耳元で聞こえ、ふいに、浮かされた熱に触れてみたくなった。吸いこまれるように、小さな唇へ顔を寄せた。 「んぅ……っ」  合わさる唇を拒絶して、固く噛みしめる薄い唇をぴちゃりと舌でなぞってみる。驚きで緩んだすきに舌を差し入れ、息づく生温かな口腔を堪能した。  喉奥に引っこむ舌を追いかけて絡め取る。震える舌先をやわく吸って、そっとなぞる。舌の裏も撫で上げると、小さな柔肉が口の中でぴとぴとと逃げ惑い跳ねて動いた。

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