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20-(4)※

 浮いた恥骨の上でごくごくと嚥下する音が響く。ラシャドの口の中で射精した衝撃に息が弾んだ。青白かったルトの皮膚は、いつの間にかじんわりと汗で濡れた。  言葉どおり一滴の雫まで飲みほしたラシャドは、くたっと萎れた陰茎にもう一度だけ唇を寄せて顔を上げた。 「ちゃんとできたじゃねぇか」  呆けるルトに視線を合わせて満足そうに言う。低い声と表情は見るからに嬉々としている。けれど休ませてはくれない。ルトの体液で濡れた肉厚な唇は、すぐさま下腹したばらに向かった。  咥えられ、ラシャドの唾液が垂れ落ちた後孔に太い指先が這う。尻肉のあわいで濡れた蕾に、一本の太い指が挿しこまれルトの身体が硬直した。 「緊張すんな、確かめるだけだ」 「確かめる……?」  意味がわからず、不安に紫水の瞳を揺らせば、伸しかかる漆黒の瞳が近づく。緊張をほぐそうとしているのか、丸い頬に唇が落ちた。 「ん…っ……」  酷使されても可憐に閉じる入り口を、ぬめりを借りたラシャドの指先がくりくりと撫でほぐす。口づけで甘やかされ、ルトの力がほんの少し抜けたとき、骨太の指が本格的に体内へ侵入した。  狭い肉道を掻き分けられて、探し物をするようにラシャドの指先が奥を探る。下腹に高い鼻先を寄せられ、ルトの臍の下をくんと嗅がれた。 「な、に……っ?」  体内の本数を増やされるわけでもない。ただ一本の指の腹で腸壁を押し上げられ、どことなく性行為とは違う感じ。腹の中のあちこちで同じ行為が続き、何がしたいのかと訝しんだときだ。埋められた指を体内から勢いよく引っこ抜かれた。 「んぁ……っ」  ルトを気遣ってくれていたのに乱暴に引き抜かれる。急に与えられた刺激に、薄い唇を噛んで息を詰めた。小さな呻き声とラシャドの舌打ちが重なった。 「お前。まだ陛下に召されてんのか」 「え」  なぜか、いきなり不機嫌になった様子に困惑する。どうやらラシャドは、さっきまでの機嫌の良さをルトの中に置いてきたよう。戸惑いを隠せないでいたら、ラシャドがどかりとルトの横に寝そべった。 「皇帝陛下だ。最近呼ばれてんだろう?」  明らかに苛ついた声音で背後から抱きしめられる。皇帝の夜伽をするのが気に入らないのだろうか。でもルトだって、好きで抱かれに行っているわけではないのだが。そもそもどうして夜伽の話になった。 「それが、なに……?」 「核種胎だ」  またわからない返答だ。皇帝と夜伽と核種胎が繋がらず、思わず顔を後方に向けて目を瞬かせた。単語じゃなくて、もう少しルトにもわかるように言ってほしい。首をかしげるルトのあからさまな戸惑いに、背後でため息が聞こえた。

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