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 冷静に手渡された薄布一枚をきゅっと握り締める。この瞬間から、毎日あの苦痛を味わわなければならなかった。  うつむき、微かに震えるルトに魔術師の手が無言で伸びる。動かない小さな身体を後ろに向かされ、傷ついたルトの蕾に指が這った。揉みこむようになぞられれば尻の穴がほわんと温もる。ぬめりを残す内部にも一本の指先が侵入した。ひりつく痛みを残すルトの体内に緩やかな熱が訪れる。  どことなくいたわる手つきはいやらしさを感じさせなかった。ほんのわずかでも心休まる治療はあっという間だ。治療を施されたらのろのろと薄布を着る。手際がいい魔術師は、間を置かず、空間移動で待機場にルトを運んだ。  移動を終えた室内は随分と質素だ。小さめの寝台が壁側にあるだけで小ぢんまりとする作り。けれど、通行人に視姦される大きな空間よりも落ち着く。わずかな時間だけでもと、ルトは身を横たえた。  まともにとれなかった睡眠をひとときだけ貪る。どれくらい休めたかはわからない。数分か、数十分か。不意に現れた魔術師に揺り起こされる。休むルトを、魔術師が無表情に見下ろした。 「お前を、菖蒲あやめ殿に連れて行く」  菖蒲殿。それがルトに与えられた、新たな宮殿という監獄か。薄い唇を噛んだルトを、魔術師は空間移動で移し終えた。  我が身を置く地獄にも種類があるのだろうか。ラシャドと違い、ジェヒューはルトを完全に孕み腹として扱った。  ルトに子種を毎日かける、それだけならまだいい。あろうことか、ジェヒューは菖蒲殿に友人や親族を呼びルトを景品にして遊んだ。複数の獣人が立派な宮殿に入り浸り、酒や賭けごとに明け暮れては勝者にルトを与える。  ただれた日々はもう何日経ったか。数日かもしれないし、一週間過ぎたかもしれない。もはやルトにはわからなかった。 「だぁーっ! またお前の勝ちかよ! ちっ。これで何度目だ、ちぃっとは犯り穴貸せよ!」 「負け犬が遠吠えか、やだねぇ。みっともねぇったら。んじゃ、遠慮なくぅ。この俺様も、すっかり皇帝陛下様と穴兄弟だぜ」  食べ散らかった酒や肉や、いくつもの空瓶が床に散乱するなか、ルトはひとり全裸で荒い息をついて転がる。体力はとうに限界を越えた。  菖蒲殿に移ってからルトが口にするのものは、ほとんど獣人の精液と排泄物だ。洗面所さえ行けず、たまらず漏らした自分の排泄物も食べさせられた。  まともな食べ物は喉をとおらず、受け入れるのは獣人たちの凌辱のみ。今もさんざん嬲られて、からからに乾いた口には大量の精液がこびりつく。口腔内で粘つく濃いさに、堪えられず嘔吐もした。少量の胃液と、多量の白濁が飛び散った。

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