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 重なる股間がずしんと強く挿入されれば、真上からの連続的な突き上げで頭頂部を打ちつけてしまう。衝撃に小さく飛び出た舌を噛みそうになった。突き上げの重みを支える細い首が、ぎしりと軋んだ。 「ァぐッう、うぐっ、ヒッ、ひッ、ぇ…ぃぎ…ッ」 「うーわー、エグ。さすがに死んじゃうんじゃねぇのー」 「でもヒューの奴は気持ちよさそうだぜ。次は俺も、あの体位でしてみようかな」  怒張が突き刺さるたびに楽しそうな外野の声ががんがん響く。獣人たちの責め苦はルトが気絶しても続けられた。揺り起こされ叩き起こされ、再び目を覚まし、気まぐれに複数で攻められる。  あと何時間、何日、何週間。いたぶられ続ければ、この地獄から解放される。いや開放などされないか。今、腹で育っているだろう子を産み落とせば、また核種胎を植えつけられて、望まぬ妊娠を強いられる。  獣人次第で堕胎さえあり得るのだ。終わりが見えない狂宴に、ルトの瞳から徐々に光が消えていく。窓から見える、真っ暗な闇夜に紫水の瞳が沈んだ。  突き上げのたびに揺れる、はかない腕が絨毯をざわりと滑る。異臭を放つ汚い敷物を細い指先が鷲掴み、爪が割れるほど引っ掻いた。縋りつくものを探りだすように、手のひらをぐっと握り締める。でも、ここに縋れるものなんてひとつもない。  こんな、尊厳も人格も何もかも否定される空間でたったひとり、すり減る心を守りとおす意味はあるか。  ほんの少しでも握り締めたら、砕かれた心などすぐに潰れてしまうだろうに。抗うよりも、流されるほうが楽なのに。  諦めなければ救われるなんて、絶望を知らないから言えるのだ。 「おらッ、おらぁッ、てめぇん中ぶちまけっぞッ。貴重な種だ、一滴も、零すんじゃねぇぞ!」  ルトの薄い腹が、臍の奥の脈動にあわせてひくひくと膨張する。逆さまに吊り上げられて、大量の精液が腹奥に濁流となって押し寄せた。熱い飛沫は腸から胃を通り、すべての臓器に侵食する。いずれルトの体内からも悪臭を放つだろう。  握り締める手のひらから力が抜け、守る心を放棄するように、足掻くルトの細い手が空中に投げ捨てられた。  酒盛りする獣人たちの声が、薄れゆく意識の奥に届く。無意識に薄い唇が動いた。 「ゆぅ、して……」  小さな囁きは、獣人たちの笑い声にかき消された。

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