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【九】週末の約束

 こうして次の週末が訪れた。 「今日は、じっくり抱いていいんだろ?」 「う、うん……ぁ」  そう言うが早いか、恢斗が僕をベッドの上に押し倒して、首元に噛みつくようにキスを落とした。指先では、僕のうなじを擽っているから、すぐにジワリと僕の体に熱が込み上げてきた。うなじに触れられると、ゾクゾクとしたものがせり上がってきて、僕の体が小刻みに揺れ始める。  恢斗は舌で僕の肌をなぞっていき、僕の右胸の突起に吸い付いた。そうしながら左手の人差し指と中指の間に、左の乳首を挟んで振動させる。 「んンっ」  もうすっかり恢斗の体温に慣れさせられてしまった。恢斗は獰猛な眼を僕へと向けながら、僕の両胸を愛撫している。すぐに僕の両方の乳頭は、朱く染まって尖ってしまった。 「ああっ!」  それを恢斗が甘く噛む。ピクンと僕の肩が跳ねた。すぐに陰茎が立ち上がってしまい、僕は涙ぐむ。恢斗はそれから右手で僕の首から頭までを持ち上げる。うなじを噛まれたのは、その直後だった。 「ああああっ、あ、あ、ああ!」  いきなりの事だったから、思わず僕は声を上げる。ここ最近、平日のSEXでは噛まれていなかったから、瞬時に沸騰するように熱くなった体に広がる快楽が恐ろしいほどだった。ギュッと目を閉じると、僕の双眸からポロポロと涙が零れる。 「ん、ぁァ!! あ、ア!! やぁァ!」  恢斗が左手の指先で僕の左乳首を摘まみ、再び口では右胸の愛撫を始める。僕は震えて泣きながら、既に射精したくなった。両胸を、すっかり開発されてしまっている。平時に優しく開かれた僕の体は敏感に変わっていたようで、胸への刺激だけで、果ててしまいそうになる。  それから恢斗は、左手で僕の肌をなぞっていき、わき腹を擽りながら、口では右胸をずっと舌で嬲っていた。すすり泣くようにしながら、僕は必死で呼吸する。  恢斗が右手で、僕の秘所に触れたのはその時だった。一気に二本の指が、既に受け入れる準備が万端だった僕の中へと入ってくる。そしてかき混ぜるように動かされると、ぐちゅぐちゅと水音が響き始めた。 「ぁ、ぁ、ぁあ!」  指が弧を描くように動く度、僕の全身を、より強い快楽が絡めとる。 「も、もう……んァ、ぁぁ! あっ」  僕が哀願すると、すぐに恢斗の張りつめた陰茎が挿いってきた。ぐっと最奥まで穿つと、恢斗が荒く吐息しながら、一度動きを止める。そうして左手で僕のうなじを撫でながら、意地悪く笑った。 「本当に綺麗だ」 「ぁ、ア、は、早く動いて……っんぁ」 「中が絡みついてくる」 「や、ぁ、言わないで、あ、あ」  緩やかに突き上げられて、僕の体がドロドロになる。もっと激しく貫かれたいという想いに染まっていく。僕のなけなしの理性は、うなじを噛まれた瞬間に吹き飛んでいた。 「ああああン!」  恢斗の動きが激しく変わり、ガンガンと打ち付けられたのは、それからすぐだった。水音と恢斗の硬い熱しか感じられなくなり、肉茎に穿たれている箇所から全身が蕩けそうになる。激しすぎて、僕はボロボロと泣いた。あんまりにも気持ち良かった。気づくと僕は放っていて、思わず両手で唇を押さえていた。しかし恢斗の動きは止まらない。僕は泣きながら、恢斗が射精するまでの間、何度も何度も絶頂に導かれた。  しかしそれでは終わらず、一度陰茎を引き抜いた恢斗は、僕の体を反転させた。 「いやぁ、あああ! あ――!!」  そして僕のうなじを何度も舐め、甘く噛みながら、バックから挿入した。体重をかけられているせいで、僕は身動きが出来ない。その状態でうなじから快楽がしみ込んできたから、僕の頭が真っ白に染まった。恢斗は僕の感じる場所を突き上げたままで動かない。ビクンと僕の体が跳ね、そうされているだけでまた果ててしまった。  絶頂感の漣に襲われた体で震えていると、ねっとりと恢斗に耳の後ろを舐められる。  ――これは、始まりに過ぎなかった。その後、僕は週末の間、ずっと恢斗に抱かれていた。意識を飛ばしている間も、お互い眠っている間も挿入されたままで、僕が解放されたのは、日曜の夕方になってからの事だった。  ぼんやりとしたままで、僕はぐったりと寝台に体を預けていた。隣に寝転んだ恢斗が、優しく僕の髪を撫でている。僕の後孔からは、タラタラと恢斗が放った白濁とした液が、とめどなく溢れている。  確かに、週末ではあったけれど――日曜日は手加減してほしいと、伝えようか迷った。明日からはまた学校だからだ。そう決意し、僕は恢斗を見た。 「ねぇ……学校があるから、日曜日は加減して?」 「しただろう。まだ夕方なのに、きちんと止めた」 「え……」 「本当ならば、23:59まで抱いていたい」 「……!」  僕は何も言えなかった。しかし恢斗にこんなにも求められるのが、嬉しくもある。赤面した僕は、オロオロと瞳を揺らした。すると紙を撫でられたままで、チュッと額に音を立てて口づけをされた。恢斗は僕の髪を指で梳いている。 「紫樹、愛している」 「ぼ、僕もそれは同じだけど……」 「もっと言ってくれ」  それから僕は抱き寄せられ、恢斗の唇が近づいてきたので、目を閉じた。  柔らかな感触がして、キスをされたのが分かる。  幸せでないわけじゃなく、無論心は満たされている。  そんな、週末だった。

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