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【十】委員会や行事について
週が明けると、委員会や部活――親衛隊の決定がHRで行われる事になった。これは、風紀委員会に所属している僕や二階堂、生徒会役員の恢斗は免除だった。北籐峰学園は、委員会か部活、あるいは親衛隊のいずれかに所属する事が義務付けられている。
親衛隊も、委員会や部活と同じ位置づけらしい。
まぁ活動時間や、その時間帯も重なるから、分からなくはないし、学園でどんな親衛隊があるか管理できるのは、風紀委員的にも楽だとは思う。ただし、親衛隊は、守られる対象が解散を命じる事が可能らしくて、そんな事態が発生した場合は、所属隊員は、改めて別の所属先を探すらしかった。また、親衛隊の結成を認めない権利もあるそうで、原則として風紀委員のメンバーは、親衛隊をもたないのだという。ただ非公式には存在しているらしい。だが非公式の場合は、他所にも所属しなければならないそうだ。
さて僕にとってはする事の無い時間である。
僕は二階堂と恢斗と、現在話している。この学園の、生徒会が主導し、風紀委員会が見回りや信販などを行う行事について教わっている。
まず直近であるのは、球技大会らしい。体育祭とは別に存在するようだ。球技大会は、主に新入生と在校生の親睦を深めたり、新入生同士の親睦を、クラスの垣根を越えて深める行事だと教わった。その後、より深めるためのイベントとして、学内が落ちついてから、新入生歓迎会があるのだという。こちらは大規模であるから、例年、入学から三ヶ月程度が経過してから行われるそうで、テストとも重ならない時期に行うそうだった。今年は六月の終わりに開催されるらしい。
委員会の決定が終わると、続いて『修学旅行の班の決定』と『卒業アルバム制作委員会のメンバーの決定』があった。この二つは、世情にもよるが、二年か三年の時にある修学旅行の班の事前決定及び、通年で写真を撮る、普通の委員会とは別の枠組みで生徒会直轄の委員会のメンバーの決定らしかった。修学旅行の班は、六名だそうで、一年時のクラスで三人、二年時に、別の三人組と再編成されるそうだった。アルバムの方は、クラスが変わっても続行らしい。だが、この北藤峰学園では、めったにクラス替えは無いらしい。たまに成績不振や不良になってしまったなどの理由で、クラスが変わったり、逆に爆発的な人気が出て変わったりするそうで、クラスの人数はまちまちだと聞いた。
なお、夏休みには林間学校もあるらしい。この班の決定も行われた。
僕の修学旅行の班は、恢斗と二階堂と決まった。なお林間学校の最初から班は六人との事で、恢斗と僕の他に、この前訪れた副会長と会計、また風紀委員会のメンバーである、坂巻雄也(さかまきゆうや)くんが一緒になった。風紀のメンバーが固まったのは、当日の見回りがあるからで、副会長と会計が入ったのは、林間学校の企画もまた生徒会が主導する関連らしい。まだあまりかかわりはないが、他の班には寡黙書記と双子の庶務、そして風紀委員会メンバーが三人いるようだった。
その後無事に決定したのもあり、HRは終了となり、自習時間となった。恢斗達生徒会役員は、授業免除があるのと、球技大会が間近だからと、生徒会室へ向かっていった。それは風紀のメンバーの見回りにも関連するからと、二階堂と他の委員達も教室を出ていった。残された僕は、腐的にS組のCP達がサボって甘い空気を醸し出しているのを眺めながら、ひっそりと復習をしていた。
こうして僕は、放課後まで授業を受けてから、この日も風紀委員会室へと向かった。
見回りが楽しみだと思いながら、扉に手をかける。
「来たか。今日はデートスポッ……あ、その、校則違反が行われやすい場所を案内する」
室内には二階堂と副委員長の、梓馬皐月 先輩がいた。梓馬先輩は、生温かい眼差しを二階堂に向けていた。これは、腐バレしているな。委員長×美人副委員長×委員長も僕的には美味しい。二階堂は興味がないというけど、本当にBL的には最高だと思うんだけどなぁ。まぁ、自分では萌えられない気持ちは、僕も良く分かるけども。
立ち上がった二階堂に対して、僕は素知らぬフリで、笑顔で頷いた。
揃って風紀委員会室から外へと出る。今回向かった先は、第二校舎の方向だった。花壇に美しい花が咲いていて、木々の緑も鮮やかな中に、ベンチや四阿がいくつかあって、いずれにも二人組の生徒が座っている。みんな、空気が甘く、相手を熱っぽい眼差しで見ている。
「まずここは、告白スポットとして有名だ」
「そうなんだ」
僕は脳内でメモをした。すると僕らの姿に気づいた途端、生徒達は顔を引き締め、少しお互いから距離を取って姿勢を正すなどした。校則違反を指摘されないためだろう。今回ここでの違反者は見つからなかったので、続いて僕達は裏庭へと向かった。そこには、濃厚なキスをしている生徒達や――ベンチに押し倒され服を開けられながら、喘いでいる生徒がいた。なお、押し倒しているのは会計だった……。
「本当は見ていたいが、あいつらには注意をしなければならない」
二階堂、本音がだだ洩れだ。
僕は吹き出すのを堪えながら、注意の仕方を教わった。このようにして、僕達は校内の外の各地を回った。充実していると思いながら、僕はこの日の見回りを終え、寮に帰宅した。本日は、球技大会の仕事があるのか、恢斗の帰りの方が遅かった。
「あのね」
僕は帰ってきた恢斗に、腐的な考えは伏せて、見回り仕事や注意の仕方を覚えた点について、誇らしくなって語った。すると恢斗が僅かに嫌そうな顔をした。
「二階堂とデートスポットを回ったという事か?」
「え……?」
「俺とも行くぞ。二階堂に先を越されたのは苛立つが、本当に仕事だと信じてる」
「仕事だよ?」
「はぁ……俺様の気持ちも知らないで」
この夜も僕は、恢斗に抱かれた。
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