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いっときの幸せを掴んだ気がした5
だが、彼の柔らかな笑みと優しげな口調からは敵意は一切なく、むしろ好意が感じられる。
もっと、彼のことが知りたい。そう思わせてくる。
「えっと……」
「あ、僕はアキラだよ。君は?」
「俺は、ユウ」
「よろしく。で、ユウは何か言いかけてたけど」
「あ、それは……なんでもない」
何も考えずに無意識で話していた、とは言えず、誤魔化すように視線をグラスに移動し、残っていたものを一気に煽る。
だが、少しのアルコールでも空腹でここまでくるとかなり身体に辛いようだ。思わずバランスを崩し、ふらりとアキラの方へと身体が傾く。
「おっと」
反射的なものなのか、アキラは俺を支えてくれた。
こんなに優しくされると、出会ったばかりなのに勘違いしてしまいそう。
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