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いっときの幸せを掴んだ気がした6
「大丈夫? あんまり無理なペースで飲まない方がいいよ」
「ご、ごめん……」
久々に触れた温もりのせいか全身が疼く。
最近は仕事が忙しく、仕事意外の時間は一人で身体を休めることしかできていない。誰かと触れ合うことを忘れていたところに優しい人肌がやって来た。
しかし、アキラは初対面である。そんなアキラから離れようとしても離れられない。これはアルコールのせいだ、それで身体が言うことを聞かないんだ、そう自分に言い聞かせる。
「ユウ?」
「……あっ、すぐ離れるから……」
「いいよ、別に」
そう言ったアキラの声音は全く変わらないが、何か別の意図を匂わせる。
一体何なのかと考えていると、再びアキラの低い声がそっと耳に響く。
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