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番契約

 初めて出会った時の衝撃は今だって忘れてない。  そのフェロモンに囚われてしまった。  僕は、このアルファが欲しい。 「桐生」  口づけ間に呼びかけても、桐生から返事はない。  Ωに誘われることのある桐生なら抵抗できるはずだ。  Ωのフェロモンに耐えることができるはずだ。  だけど、だけど、桐生は抵抗をやめた。  激しく口づけを返すと、まだ靴も脱いでいないのに玄関から続く廊下に僕を組み敷いた。  激しく口づけをしながら桐生にスーツのジャケットの前を開けられる。ネクタイを引き抜かれる。互いの荒い息が薄暗い部屋の中に響く。ワイシャツのボタンが飛んだ。中の下着を引き上げられて、露わにされた肌に桐生が口付ける。  快感しか感じない。激しさに恐怖は感じても、肌を伝う手や口ずけは快感しか与えない。  だから余計にその甘い快感を欲しがってしまう。  桐生が、欲しい。  起き上がった桐生に見下ろされる。  ギラギラと欲望に濡れた瞳は普段の優しい眼差しは感じない。  欲望しか見えない。  それでいい。  その欲望が欲しい。  桐生は自分が着ている服を脱ぎ捨てると、僕の肌蹴られた服を引き抜いて脱がせた。  再び床に組み敷かれて噛み付くように胸の突起に口付けられる。 「ああっ、あ……ぅぁあっ」  快感に声が上がる。甘い声が響く。  誘うようにしか甘い声は上がらない。  争うことも、抵抗することもできない。  目の前のαを求めることしかできない。  この甘い香りを自分だけの物にしたい。 「桐生っ、欲しい」  甘い声で叫ぶ。  桐生がズボンのベルトを解いてズボンの前を開くと、抵抗もなく中へと手を入れた。そこはグズグズに濡れている。煽られて溢れ出した蜜でパンツは既に濡れている。  ズボンを剥ぎ取れて、冷たい床が熱った身体に心地いいとさえ感じる。  足をひらかされて、その奥の窄みに指が触れて中に差し込まれる。 「ああっ、ああ……そこぉ……」  中に触れられてさらに熱が上がる。桐生の指が触れるところから余計にフェロモンが溢れ出す。  もっと、もっとと欲が生まれる。  荒く扱われてもグチュグチュと濡れた音が響いて、さらに溢れる。 「あっんっ……きりゅぅ」  指を抜き差しされて、感じるところを刺激されると身体が跳ね上がった。  互いの腹を放ったものが汚す。はぁはぁと荒い息をしても桐生の手は止まらない。 「あっ、ダメェ……くるしぃ」

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