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束縛と嫉妬と誓い

「悪かったって、俺が悪かったから、ひ、沢木君を怒らないで」  和人と僕が桐生の家に着くと桐生は玄関から飛び出してきた。  その剣幕に和人が慌てて謝る。 「別に怒ってない」  桐生はそう言いながら、僕の方を向いて、「まさか和人兄とは思わなかった」と言って僕の頭を撫でた。 「彰人っ」  和人は慌てて僕を後ろに引っ張った。桐生はくすくす笑って、「大変だな」と耳打ちした。  なんだろう。大変とは。 「しゃわぁきっ」  玄関から彰が飛び出してきて足に抱きついた。それを抱き上げる。 「彰、裸足で出たらダメだよ」  後ろからすぐに葉山が追いかけてきた。 「昨日は悪かったね。急に出て行ってしまって」  和人が葉山に謝った。 「いいえ、僕こそ驚いてしまって……」  葉山が顔を赤くした。 「ああっこの子が彰だね。可愛いなぁ」  和人は抱いていた彰を抱き上げてぎゅっと抱きしめた。 「彰人にそっくりだねっ」  和人はテンション高くいうと、今度は両脇を持って高く持ち上げた。 「あ、危ないです」  慌てる僕と葉山を気にする様子もなく、「子どもって、俺、叔父さんになるんだ。可愛いねぇ」と何度も可愛いを繰り返して撫で回して、抱いたり持ち上げたりを繰り返すから、桐生が、「いい加減にしてくれ」と彰を取り上げた。 「玄関先なんで、中に入ってください」  葉山に言われて中に入ると、なんだか甘い香りがする。玄関を通ってリビングに入ると赤やピンクの花が飾られている。 「これ、どうしたんですか?」 「和人兄からだ」  振り返るとまだ彰を構っている和人が、「ああ、沢木君の家の住所知らなかったから」と言った。 「私の?」  葉山は、「これどうぞ」と言って花束を一つ渡した。 「なんですか?」  受け取った花束にはメッセージカードが付いていて、『To you who love you』と書かれていた。葉山は、「花が萎れるといけないので、他のは花瓶に移したんですけど」 と数枚のカードを差し出した。 「後、冷蔵庫にも」  冷蔵庫?  首を傾げると葉山は急いで冷蔵庫から白い箱を取り出してきた。 「ケーキです」 「ケーキ?」

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