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「おはよ、ひなくん。昨日は早いペースで呑んでいたけど、具合悪くない?」 「ひ、ひかる……」 ノックもせず、図々しく、無駄に爽やかな笑顔で入ってくる双子の兄に、寒気を覚えた。 いつの頃からか、両親にさえ向けなくなった笑った顔。兄の今までの言動もあり、あんなにも大好きだった表情でさえも身震いしてしまう。 そして、次に得体の知れない恐怖に怯えることとなったのは、右手に猫耳、左手にはエサ皿を持つ兄の姿。 これから兄がしようとすることに気づいたが、する意味が考えつかなかった。 「ちょうど起きてくれて良かった」と水入り皿だったらしい皿を床に起き、笑顔のままでいるが、こちらを見た。 ひなたの目には不自然な表情に見え、萎縮していると、持っていた猫耳をの頭に付けた。 え、と口の中で呟くと、笑みを深めた表情で言った。 「今日は、猫のようにふるまってくれる?」 「え、どうし、──」 即座に、自分と同じく細くて長い人差し指を唇に当てた。 「それを付けたら、猫の完成。今からひなくんは、人の言葉で話しちゃダメだから」 「なんで──」 「鳴かないと答えない」 圧をかけるような言い方にまた噤んでしまったは、混乱する頭での言われた通りにするしかないという考えになってしまった。 「……に、にゃあ……」 目線を逸らし、頬を赤らめながら、おずおずと鳴くと、「恥ずかしがって鳴くひなた、可愛い」と首筋を指先でくすぐられる。 そのくすぐったさに思わず肩を竦めた。 「昨日、酔ってたひなくんが、まるで猫のように甘えていたから、ずっと前から持ってた猫グッズを使う時だと思ったから、猫にさせたんだ」 ひかるに甘える? 嘘だろう。 高校の時から恐怖の存在であった兄だ。甘えるだなんて、そんなのは本当に幼い頃にしたぐらいなもので、絶対にありえない。 こっちが酔って覚えてないことをいいことに自分のいいように言っているだけだ。 そう言い返したいが、普段でも言い返す隙を見せないこともあり、自分の情けなさに呆れながらも、代わりに「にゃ、にゃあ……」と無駄に鳴いた。 「そう。ひなくんも嬉しく思っているんだ。やっぱり、僕達はとても仲が良い双子だ」 穏やかな笑みを見せて、頭を撫でてくる。 途端、胸が高鳴った。 解釈違いも甚だしいと思っていた矢先に。 何故。いつもはそう思わないのに。 困惑するひなたはよそに、秘部が疼いていくのを感じる。 「…………?」 ピリッと痛みを覚えた。 これ以上勃つのを制限されているかのような、何かに締めつけられているような圧迫感。 布団に隠されていた下半身を、兄から見えないように捲った。──のだが。

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