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ものすごいのんびりお風呂に入ったあと、個室が空いてたから1時間レンタルしてだらだらしている。遙は「あつうー、のぼせたー」って言って髪を結んだ。それから大の字になって寝転んで…これだけ寛いでたら、完全に元は取ったなって思える。
「なあー、返事来たあ?」
「あ、スマホ見てなかった」
「見ろやあ!」
促されてスマホを見た。
「あ、」
「来てた!?うわー!読んでっ」
『返信ありがとう☺︎学祭の日なんだけど、服飾科がファッションショーするらしくて、モデル探してるんだって。透、スタイルいいしかっこいいからやってもらえないかなーと思って連絡しました!俺もやるんだけど、一緒にやらない?』
「読み上げてくれないんかー、どれどれ」
遙が僕のスマホを覗き込む。
僕は内容が飲み込めなくて、動けない。
「なんやああああ!!!すごーーー!!モデルやてえ!!」
「やらないよそんなの…」
「なんで!?やるでしょうが!!とおるちゃん背ぇむちゃくちゃでかいし、よお見たらかっこいいし!うおー、みちるさん見る目あるわ最高。やりますって返事してよ」
「しないって、無理だもん。人前に出るとか絶対嫌」
「えーーーーー。ほんならスマホ貸して」
「返信勝手にするでしょ、渡すわけないっつうの」
「人聞きの悪い……おりゃ!」
「あっ!」
横から指が伸びて、通話のアイコンをタップ。
「あはは!電話したった」
「ちょっ………あー、わ、どうしよう…これ切ったら切ったで変な感じだよね…」
って言ってる間に繋がる。
『あ、透?』
「スピーカーにして!」
スピーカーをタップ。
『透?』
「はい!あ、すみません、電話、」
『ううん、平気!むしろちょうど良かった、話せて。ごめんね急に連絡して』
「いえ、あの、僕できま…」
「やります!」
「はるかっ」
遙は僕の手からスマホを取り上げた。
『あれ?誰だ?』
「友達の佐野です。とおるちゃん、モデルやりますって」
「言ってないから!!」
「や、みちるさん見る目あるじゃないですかあ、それをムダにしてはいけないですもんねっ」
『はは、なぜか俺知らない子に下の名前で呼ばれてる』
「うわ、ごめんなさい!!とおるちゃんから色々聞いてて、知った気になってて…」
『あれだね、一回会って話そうよ。佐野ちゃんも一緒にさ。今どこいる?』
「スーパー銭湯にいます」
『おー!俺も行きたい。今から行ってもいい?』
「もちろんです!何回でも入るしお風呂」
『あはは、じゃああと15分くらいしたら行きまーす』
切れた。
「まてまてまて、遙としか話してないじゃん」
「え?そお?」
「……ああ…」
「いいじゃん、来てくれるってさ!あー、みちるさんって感じいいね。どんな人かなあ楽しみ。美人なんだもんね。あ、個室延長しとこか?」
泉さんと会うってことがどれだけ緊張するか、遙は分かってなさすぎる!
でも、遙がいてくれて逆にいいのかも…なんかむちゃくちゃになりそうな気もするけど、気も紛れるし、
「うへへ、楽しみー」
遙はにぱーっと口を開けて笑った。
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