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2回目の公演も観に行った。今回はロビーで話すことはできなかった。しかたない。 シノは衣装の管理を手伝いに行って、そのまま打ち上げに出ることになった。遙と僕はなんとなく一緒に大学を出る。 「なあ、ごはん食べよう」 「いいよ」 「俺んちでいい?」 「うん」 コンビニで適当に食べ物を買って、遙の家におじゃました。勝手知ったる部屋だけど、なんとなくシノ抜きで行くのは久しぶりな気がする。 「あのさあ、とおるちゃんって致したことある?」 「え?致した?」 「したことある?誰かと、そういうさあ、その、ほら」 「あー…あー、まあ…あるけど…」 「女の子と?」 「まあ、そうだね」 「みちるとは?」 「え、やー…なんだろうね…どう言えばいいのか」 「した?」 「した…といえばしたような……なに、なんでこんなこと聞くの」 「俺、したことないのよ全く。知ってると思うけど」 「え?シノととっくにそういうことになってるって勝手に思ってたけど?」 遙は目を丸くした。まんまる。 「なんでよ!!まじで勝手な思い込みだわそれ」 「だってさあ、たまに「まこちゃん」って言うじゃん?そういう時に言ってんのかなーって思うじゃん」 「い、いやいや違うって!もしかしたらシノ的にはほんまはそうしたいんかもしれんけど………どうしたらええのか分からんわけよ…多分だけど、あ、これはそういう雰囲気だ!って感じのんあるだろ?」 「あー」 「あの顔が迫ってくると思ってみ?……耐えられん!!!!」 「なに、のろけ?」 「ちゃうわい!!本気で言ってるし!!あのきれいすぎる…男前すぎる顔よ…まともに見られんよね……ち、ちゅ、ちゅーするのも無理…」 もう全然平気なのかなーと思ってたけど、そうでもないんだな…むしろ退化してる気がする… 「あーあ…どうしたらいいんだろ…」 「シノと遙の温度差がないならいいんじゃないの?別にむりやりどうこうしなくても」 「んー……聞いてみないといかんな」 「聞けんの…?」 「え、多少の勇気はいるけど、聞いてみないとしゃあなくない?」 「聞けるならちゅーしたらよくない?」 「いやいやいやいやいやいや」 「ちゅーはしたわけ?」 「し、…したよ、1回…2回くらいは」 「じゃあ平気じゃん」 遙は赤くなって、唇を尖らせた。 「…でも、平気じゃなくなってきた。だいぶ前みたいに、目が合うのも緊張してしまうときがある」 「なんでよ…」 「……好きすぎるからだろ」 ………不覚にも遙のことを抱きしめてしまいたいくらい、ものすごいきゅんとした。むちゃくちゃかわいい… 「…はーあ、どうしよ……まあ…仕方ないよな、やっぱり頑張って聞かないと」 「普通に今言ったことをシノに言うだけでいいと思うよ?充分嬉しいよ、好きすぎるって言われたら」 「いやいや、いかんよ。こんな俺みたいなもんがそんなこと言ったってなんもならんわ。シノのまわりにはどんだけおしゃれでええ感じの人がいっぱいいると思う?実は言い寄ってきてる後輩の子がおるのも分かってるんだから!」 「なに、不安なの?」 「常時不安やわ!付き合ってから安心したことなんかない!!いつ俺のことどうでもよくなるかなって思ってるよ。そのときは友達に戻りたいじゃん、その、金輪際会わん!みたいなんじゃなくてさ…やっぱり友達に戻ろう〜ってなりたい。俺はシノをずっと見てたい。好きやし。シノが幸せだわーって過ごしてるところ、見てたいって思うよ。隣におるんは俺じゃなくてもいい」 「待って、言い寄ってくる人見たらはっ倒したくなるって言ってたじゃん」 「なるよ!!なるけど……俺といるより、他の人といる方が幸せなんだったらそうしてよって、思うよ、最近特にね…」 充さんを思い出した。 何番目でもいいから、って言った時のその表情を 「大丈夫だって。シノ、遙のことしか好きじゃないよ」 「……そうだといいなあ」 遙は髪をくしゅくしゅ触ってため息をついた。

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