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展示はたくさんの人が観に来てくれた。 「ほら、やっぱり女の子いっぱい来てる。すごいわー」 充さんは隙間時間にチラッと顔を出してくれて、で、そんなこと言う…… 「もー、嫉妬しちゃってさあ…そりゃあここに来てる女の人はシノかとおるに接点がある人が多いみたいよ?でも普通にとおるちゃんがみちるのこと好きすぎるってことは分かってるんだろ?」 「分かってても嫌なの。嫌。分かる?でも俺は大人だから、もし女の子が透のことをべったり触りながら甘ったるい態度で喋ってたとしても怒らない。ぜんっぜん怒らない」 「怒るやつじゃん」 遙と充さんはうだうだと嫉妬するだなんだって話してる。 シノは、可愛らしい女の子とさっきから話してて、どうやら後輩らしいけど、遙は嫉妬しないのかな…つい最近聞いた悩みを思い出す… 遙は全然シノの方は見ずに、充さんと話をし続けけてる。 ……嫉妬かな、…嫉妬っていうか、逃避っていうか… 「透くん」 「あ、来てくれたんだ」 行くね、って言ってくれてた女の子だった。 作品のことで少し話して、それから、また遊びに行こうよ、って 腕に触れられて、少し引っ張られるみたいに 充さんの方を見た。唇の端を引き上げて笑う。 それからひらひら手を振る。 引っ張られる感覚に、また顔を戻す。 ねえ、どこ行く? どうしよう、 「なあ!みちる帰るってよ!」 …ちょっとごめん! 腕に添えられた手をそっと離して、もう背中を向けて行ってしまいそうな充さんの腕を掴んだ。 「わ!なんだよ」 「怒ってる」 「怒ってないって」 頬を手のひらで包んで、親指で唇に触った。 撫でるみたいにそっとなぞったり、感触を楽しむみたいに少し押してみたり。 その手を握り取られた。そのまま繋がって、指先が絡まる。 「キスしたいけど、今じゃなくて夜します」 「分かった。また連絡する」 顔が近づいて、頬にキスされた。 ……いや人前でーーー!! 固まってる間に、充さんは行ってしまった。 「今の何?」 「え、」 彼女の顔は引き攣ってる。 「付き合ってる人だよ、僕の」 「……ん?え?なに、どういうこと?」 「舞踊科の先輩」 「や、じゃなくて、透くんって」 「あの人が好きなんだ」 彼女は笑った。 「ふーん、そっか!そうだったのか!でもさ、またたまにはご飯行ったりしようね。今度は他の子とかも一緒に」 「…うん、そうだね」 「展示すごいよかった!もう一回くらい観に来るかも」 「ありがとう、うれしい」 「じゃあ、またね」 ばいばーい、って手を振り返して背中を見送った。

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