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今夜も充さんは家に来た。このままずっと住んでくれたらいいのにって思う。
「夜じゃなくても、朝でも昼でも関係なくキスするよ、俺」
並んで歯みがきしながら、鏡越しに目を合わせて話す。
「人前でも?」
「それはちゃんとわきまえるけど」
「えー?」
「今日はわきまえてたから口にしなかったんじゃん」
「そうなんですか?」
「そうだよ。当たり前じゃん。褒めてよ、我慢したんだから」
順番に口をすすいで、それからすぐにキスをした。舌を絡ませて、長く、長く
「あーやばい、やばいな」
「しつこい?」
「いい意味でしょうが」
「しつこいのもいいってこと?」
「…ふふ、そうだね、いいね、しつこいのも」
「じゃあ遠慮しません」
「あはは!いいよ、もっと」
笑いながら両腕を伸ばしてくるもんだから、幸せすぎるーーーーってすごい思って、なんかそういう幸せ感じる系の物質みたいなのがバカみたいに頭の中ダダ漏れてるんじゃないかなって気がする。どうしてこんなに堪らない気持ちになるんだろう?ずっとこうしてたい。一緒にいたい。
抱きしめたままベッドまで行って、そのまま仰向けに寝転んだ。充さんは胸の上。
「あ、あ、ねえ、しようよこのまま」
「寝なくていいの?」
「寝られない、このままじゃむり。ほら、」
「まあ…僕もですけど、」
「これ、いれて」
露骨な手つきと言葉にくらくらする。
全部服を脱いで、馬乗りになってくる充さんの腰を掴んだ。それから少し抵抗するのを押さえつけるみたいに、ベッドに組み敷いた。色気が凄くて、
「あ、だめだよそれ以上、入らなくなるからだめ、大きくしないで」
そうやってまた煽られて、抑えられるわけない。
脚を抱え上げた。それから太腿の裏を撫でながら押さえつけて、剥き出しになったそこに唇を押し付けた。何の抵抗もない。ただ自然に、そうしたいからそうする。いい声が聞こえる。それに応えるみたいに音を立てて舐める。
「もう、もういい、から……いれてはやく、」
顔を上げて、サイドテーブルに無造作に置いていたゴムをひとつ手に取った。
「いらない。今日はいらない、ほしいっていってんの」
「でも、」
「でもじゃないの、ねえ、とおる、ほしいのそのままで、なか、おねがい、」
どうしてこんな甘ったるい声で!
めちゃくちゃにしたいけど、我慢して指先をそこに押し当てる、優しく
充さんは首を横に振って、その手を掴んだ。
「いやだ」
「ちゃんとしないと、」
「しなくていい!」
知らないからな、全部終わって後悔しても
いつも以上に漏れ出す声が耳に入ると、愛情とか気持ち良さとかで頭の中がぐちゃぐちゃになる。
細い腰を掴んで見下ろす。それだけでまた反応してしまう。名前を呼ばれて、それでまた、
限界までゆっくりしよう。この、今どうしようもなく熱を持った充さんのことを目に焼き付けたい。濡れた目、唇、居場所の定まらないふわふわした手の動き、汗ばんだ胸は見てるうちにそれだけじゃ気が済まない。一旦抜いて、胸元に唇を寄せた。背中をぽこぽこ叩かれるけど気にしない。至近距離で見つめる。指先で触れたら体が跳ねた。かわいい。何回も触って、それからまた舌でしつこく舐めた。どっちも丁寧に。
「いれたいのにーーー」
顔を上げたら、涙が伝ってて焦る。やばい、なんで!泣かせた!
「ごめん、ごめんね充さん、」
「なかにいて、きもちよくなってよって、思うのに…、おれだけこんな…だってもう、出ちゃいそう…」
「いいよ、見せて?」
「だめ、きてくれるまでがまんする…!」
なんていうの?いじめたくなるやつだ、こんな、焦らせば焦らすほどこんなことになって…
ゆっくりゆっくり挿れた。
こっちだってもう限界なんだけど、もっと充さんのぐちゃぐちゃになる姿を見ていたかった。いやだ、って体をよじるけど、指先でしつこく胸を触った。涙が溢れるたびに、ぞわぞわした。
全部入ったら、ゆるゆると腕が伸びてくる。
汗で前髪がしっとり張り付いている
目元は涙のあとがついてる、だけど笑ってて
唇は半開きで、細い三日月みたいに弧を描く
おねがい
そう唇が動いた。
頭の中で何かが決壊して、あとは欲望に赴くまま体を動かした。
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