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全部終わっても、ずっと冷めずにいた。
べたべたのまま結構な時間、ずっと満足するまで抱き合った。あ、抜けちゃう、って充さんは笑って、それで少し体を離した。
思わずじっと見てしまった。
ベッドに横たわる体、生々しい、溢れ出てしまったのは、僕のそれだ、
「ねえ、描いて」
「え?」
「今の俺のこと」
妖しい、っていう言葉がしっくりくる。
「全部描いて」
またできそうなくらい頭の中は興奮してた。
けど、必死で我慢して目の前のからだに集中した。デッサンの筆致は荒い。
見れば見るほど愛してるって思ったし、美しい、絶対にもう、なにがあっても手放さない。
紙の中に閉じ込めてしまっているような気分になってくる。閉じ込めてしまいたい、僕の元から絶対に離れていかないように、繋いでおいてしまいたい、最低、僕、ちょっと病気かもしれない、
けど、本当にそう思うんだから仕方ない。
きっとみんな、僕の立場だったらそう思うはずだ。こんな充さんを見て冷静ではいられない。
「できた」
鉛筆をサイドテーブルに置いた。
それからノートを充さんに手渡す。
「……俺、こんななの?」
「もっときれいだし、もっとやらしいですけど」
「…もう一回しよっか」
「えー!」
「いいじゃん、どうせはだかじゃんお互い!見て、たってきた」
「露骨に言うのほんと良くないですよ!!」
「怒らないでよ!ねえほら、見て?透に怒られるの好きかもしれない、……俺、こんな変態だったの?」
「知らない…!……でも、僕もそうですよ…今、描きながらずっと、充さんのことこのまま縛り付けてたいって、思ってた」
「物理?縛る?いいよ、そういうのもしようよ」
「精神!」
「精神?はは、もっとやばい、あーー、よく見て?おねがい、みて、」
覆いかぶさって見下ろした。
「一生俺のこと見てて」
「見てるよ、離さない」
唇を何度も押しつけて、また懲りずに中に入り込む。
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