52 / 53
52
5人でお風呂に入ったあと個室で結構飲んで、それから解散した。
怜さんは結構いい感じにできあがっちゃって、シノが仕方ないから今日はうちに連れて帰る、とか言って…「はるちゃんもおいでよ!」ってシノは言ったけど、遙は「大丈夫、俺はひとりで帰れるし」って突っぱねた。………さっきまで仲良しだって思ってたのに…!
途中まで遙も方向が一緒だから、3人で歩く。
「大丈夫?」
「なにが?全然平気よ」
「なあ遙、一緒に透んち行こ!」
「えーーー、だってなんや言ってたじゃん、するとかなんとか」
「別にしょっちゅう会ってるんだから1日しなくたって平気だもん。遙と3人でうだうだすんのも好きなの、俺」
「……そうなん?」
「うん。好き。はるか〜〜〜」
充さんは遙に抱きついた。
「なんやっ!酔っぱらってんの!?」
「酔ってない!かわいいからじゃん!シノに内緒ね?あーーー、よちよち、かわいいねえはるか」
「とおるちゃん違うよっ、俺はみちるとそんな、」
分かってないなあ遙。遙のことがかわいいって思うのは僕もなのに!ふたりまとめて抱きしめた。
「ちょいちょいちょい!!!」
「僕も遙のことかわいいって思ってる。充さんも遙も、今日は泊まってってくれなきゃ困ります、さみしくて」
「へへ!ほらな?」
「………んーーー…」
「行くよ!」
充さんは僕の手と遙の手を握って、ずんずん歩き出した。
「あーあ、やばいな、ちょっとなんか切ない」
「なんでよ!」
「だって今年度で卒業じゃん俺!こうやってさ、遙と透と過ごすのって気軽にできなくなるかもしれないし」
なんとなく考えるの避けてたけど、そうなんだよな、充さんが卒業したらどうなるんだろうって、……別れるとかは絶対嫌だし
「みちるって、卒業後はどうすんの?」
「夏休みの初め頃にね、ワークショップ受けたんだ、ドイツのダンスカンパニーの」
………ああ、これはあれだ、ちょっとつらいやつだ
「主宰の人と仲良くなってさ、来る気ない?って誘われてるところ、」
「え!とおるちゃんとまたヨリ戻ったときには、もうドイツ行くかもって感じだったの?」
「いや、透とまた付き合うってなって何日かしてから連絡きた。展示の会期中かな。……黙っててごめん、透、」
充さんは唇を噛んだ。
「言い出せなかった…どうしたらいいか、どうしようか、自分の中でまだ全然考えられなくて……もう、どうしよう?どうしたらいい?ねえ、遙ならどうする?シノが日本にいるのに、遙だけ海外で勉強できることになったら…行く?」
「……んーーー…もしそうなったら、シノは俺に行けって言うと思う」
「……あー…」
「別れるかどうかは分からんけど……でも、俺はそうなったら、シノが別の人を好きになっても仕方ないって、思うかも」
「………わかる…」
だんだん歩く速度が落ちて、充さんも遙もどんよりした顔になってるし…
「僕は別れるとかドイツで新しい恋人作っていいとか、そんなん言いませんよ。距離が離れるからって浮気していいわけないでしょ?」
「そうだね…」
「でも、ドイツには行って下さい」
………いや、行ってほしくない。そばにいてほしいって!!!でも、踊ってる充さんが好きだし。僕のエゴで行かないで、って言うのはおかしいってことも、ちゃんと思うし、
「ドイツに行ってもっとすごいダンサーになって下さい。で、僕の恋人であり続けて下さい。充さんは僕のミューズだって言ったでしょ?」
「うおおおおおおお!!!」
遙が叫んだ。近所迷惑!!
「やばーーーー!!とおるちゃんめっちゃかっこいい!うわあーーいいなあ!みちるめちゃくちゃ幸せ者じゃん!」
「……だね、俺すげえ幸せ者だね、」
「うわ、みちる泣いてる?」
「泣いてるね、すごい泣いてる、止まらないんですけど!」
「みちる〜〜〜!」
なんでか知らないけど充さんと遙がハグしてて、僕だけ取り残された…
ともだちにシェアしよう!