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第9話
かすかに震える手でざくろはシャツを脱いでいった。
白く滑らかな肌が露わになり、薄い胸にはピンクの2つの飾りがある。
「・・・エロそうな体」
まだ不機嫌さが残る口調で蔑む男に、居心地が悪く、どんどん気が滅入っていった。
「あの、俺が気に入らないならやめませんか?」
気を遣うように提案すると、男は先程の分厚い札束をぶん投げてきた。
「っ!」
バシッと、顔面目掛けて投げつけられたお金は宙を舞い、自分の周りをパラパラと舞い散る。
「黙れ貧乏人。お前は俺に買われたんだよ。黙って足開け」
確かにその通りなのだが、あまりの言いように流石のざくろも嫌な気持ちになる。
「・・・・拾えよ。100万ある。90万は恵んでやる」
喉から手が出るほど欲しい・・・
欲しかったが、これを拾うと立ち直れないほど、自分の中で何かを失う気がして、拳を握り締めてそれ拒否した。
「・・・・すみません。今日はキャンセルにして下さい」
脱いだシャツを着て立ち上がり、部屋を去ろうと踵を返したとき、男は忌々しげに舌打ちすると、ざくろの腕を捻り上げながらお札が散らばる床へと押さえつけた。
「いっ!」
「お前が主導権を握るな。買われた分際で偉そうな事、言ってんじゃねーよ。さっさと服を脱いで足開けっつってんだろーが!」
怒鳴り声をあげて自分にのしかかる男に、恐怖からキツく目を瞑る。
「・・・テメェの体に10万なんて価値が本当にあるのか試してやる」
怯えた様子を見て、男は人の悪そうな笑みを浮かべながら、ざくろのベルトに手を掛けた。
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