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第16話

side 九流 結局、自分が果てると同時にざくろは意識を途切らせ、崩れるようにそのまま眠りについた。 長いまつ毛に大粒の涙が引っかかり、ざくろの目元を光らせる。 長い指先で水滴を散らすが、ピクリとも動かないざくろに溜息を吐いた。 何やってんだ、俺・・・・ 青白い頬に触れるか触れないか悩みながら、指先を燻らせる九流は再び溜息を吐く。 また加減なくやっちまったな 華奢で小さなざくろの身体を労わるように柔らかな薄い毛布を掛けてやる。 こんなに、綺麗な人間生まれて初めて見た あの階段下で会った時、息が止まって夢中になった こいつから目が離せなくて・・・・ 自分がおかしくなったんじゃないかと本気で思った 嫌味を言いたいわけじゃない 素直じゃない自分の性格がざくろを傷付けている事は分かっている。 きっと好きなのだろう 一目惚れってやつだ・・・ 認めたくなくて、こいつを苛めてやろうって思ったけど、泣く姿がまた可愛くてのめり込んでしまう。 溺れないように努めようとすればするほど、ざくろの色香に溺れて沼にはまったみたいに動けなくなる。 正直怖いと思った 人目を惹くざくろを探すのに苦労はかからなかった。 それどころか、一声その辺の人間に問いかけるだけでどんどん情報は集まってきた。 どこの良家の息子かと思えば、何の後ろ盾もない一般市民と知った時は驚いた。 更に一回10万という金額で売りをしていてショックを受けたのを覚えている。 近付くことに躊躇いもあったが、モヤモヤするこの気持ちを一刻も早く払拭したかったのが本音だった。 一度抱いたらこの気持ちも冷める そう信じて、あらゆる手段を使って調べたざくろの客のリストから、知り合いを見つけ出した。 幸い、近状で自分の知り合いがヒットした。 明日の予約者が自分と同じ生徒会役員の書記の槙野と知って、俺は必死に頼み込んであいつを買い取った。 一回・・・ その一回だけで終わらせる予定だった 本当に・・・・

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