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第17話

でも、駄目だった・・・・ 一度触れたら病み付きになった 下手な演技で躱そうとする馬鹿な所に苛立って、少し本気になったら気絶された。 どんなに慣れているのかと思ったらざくろはとても快感に弱く、何も知らない無知な身体だった。 いつも奉仕ばかりに徹して、自分の身体にはあまり触れさせてこなかったのだろう 売りをしているのなら開発済みと残念だったが、そうでなかったことに喜びを感じる辺り、自分はかなり重症だと苦笑したのを覚えている。 ざくろを抱いたあの日からこの身体を誰にも触らせたくなかった。 金で繋ぐことが出来るなら惜しみなく使う 二年間で二千万 莫大な金額だと自分でも思ったが、この身体が誰かに触れられる事を考えたら安いとすら思えた。 すぐに自分の通帳を持って外出手続きの書類を提出し、銀行へ走った。 次の日、約束通り二千万を手渡すと俺は毎晩部屋にざくろを呼んでその身体に溺れていった。 奉仕をしようとする手を縛り付けベッドへ沈めると困惑していたが、これといった抵抗もせず俺の与える愛撫に必死に耐える姿はなんとも言えない高揚感に浸った。 泣いて乱れるざくろに俺の中の欲望を満たすものを感じた。 可愛くて、可愛くて 愛おしさが生まれる 優しくしたいのに苛めて 抱きしめたいのに投げ飛ばして 愛を囁きたいのに罵倒してしまう 己のあまのじゃくさに辟易する。 今日こそ優しく触れようとしたのにあの黒い妖艶な瞳が涙で揺れた瞬間、すぐに理性が崩れる。 更に情事中にざくろが呼んだ「あきら」 そいつが誰なのか分からないが自分の心が荒れるのをハッキリと感じた。 携帯電話を手に取り、九流は生徒会メンバーへ「あきら」と名の付く生徒をピックアップするよう命じるメールを一括送信した。 「お前に他の男は必要ない・・・。俺だけを求めて俺だけに縋れ」 眠るざくろの頬を撫でて囁く九流は言葉とは真逆に優い口調で笑顔を浮かべた。 side 九流 終わり

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