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第18話
目を覚ますと、視界に飛び込んできたのは薄暗くても分かる自分には到底不似合いの豪華絢爛な部屋だった。
九流先輩の部屋か・・・
二千万円で買われてから毎日、部屋へ呼び出されては夜な夜な抱かる日々を送っているざくろは、決まって最後は九流に付いていけず、気絶していた。
目を覚ますのはいつも夜中か朝方で、眠い目をなんとか開いて、重い体を起きあがらせながら自分の部屋へと戻っていた。
今日も深夜に意識を取り戻すとキングサイズのふかふかなベッドを見渡し、自分とは反対側で寝ている九流を見つけて息を潜める。
起こしてしまうと申し訳ない
情事を終え、必要なくなった自分を外へ放り出してもおかしくないのにこうして起きるまでベッドを使わせてくれている事に感謝の気持ちが生まれる。
せめて、九流が起きないように迷惑にならないようにしたかった。
脱いだ衣服を拾い上げ、素早く着込んで足音を極力立てないようにざくろは部屋を出ていった。
ー パタン ー
ふーっと、緊張から解き放たれると安堵の息が漏れた。
薄暗い廊下を慣れた足取りで自分の部屋を目指して歩いていった。
部屋へ着くと、先ほどの豪華さとはかけ離れた質素な自分の部屋に親しみの笑みが溢れた。
この寮は電化製品や家具等は各自で用意しなければいけなくて、この部屋にはシングルのベッドと勉強机、小さな冷蔵庫と洗濯機、そしてエアコンだけしかない。
持っている衣類は学校の制服とジーパン3本に夏用のTシャツ3枚だけで、冬はそれに合わせてパーカー3着とダウン1着のみになる。
これらの衣類はプラスチックの箱を箪笥代わりとして、部屋の片隅に置かれていた。
「暑っ・・・・」
九流の部屋も寮の廊下も冷房が効いていたので快適だったが、自分の部屋のエアコンは切って出ていった為に灼熱地獄と化していた。
すぐにエアコンを起動させて、冷蔵庫の中からペットボトルに入った水を取り出し、コップに注いで水分補給する。
喉がカラカラだった為、体がスッとして少し眠かった目も冴えた。
「シャワー浴びようかな」
水を再び冷蔵庫に戻すと脱衣所へと向かい、洗濯機へ脱いだ服を放り込んでいった。
ここの生徒は、一度袖を通した服は一階のエントランスにあるクリーニング業者に洗濯に出すか、そのまま捨ててしまうかが一般的らしく、こうして洗濯機を使うのは庶民のざくろぐらいだった。
服を全て脱ぐと浴室に入って、冷たい水を頭からシャワーで浴びた。
身も心もリセットされたようにシャキッとなる感覚が心地良く、ざくろはゆっくりと瞳を閉じた。
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