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第20話
痛くてもなんでもいいから、とりあえずあの快楽責めをやめて欲しい。
おかげで最近は夜が怖くて仕方がない。
一度、根をあげてお金を返すから契約を白紙にして欲しいと言ったら、違約金を払えと倍の金額を要求された。
四千万なんてお金、自分が用意できるはずもなくて悲しいことに契約破棄の道は閉ざされた。
今までの客みたいに自分の欲望だけ吐き捨ててくれたらいいのに
「はぁぁーーー。高額貰ってる分、ちゃんと受け入れないと駄目だよね」
人それぞれ性癖はある。
九流はサディスティクなのかもしれない
寝返りを打って、ぼんやり九流のことを考えた。
あの並外れたかっこいい容姿を持って成せば、この監獄の寮を出た時、どのような性癖を持っていても女の子達は放っておかないだろうと思う。
実際、九流はああいった行為にとても慣れていた。
服を脱がせるのも器用な指先は流れるようで、濃厚なキスも頭の芯がぼーっとしてくるほど気持ちがいい。
エッチだって、自分が不慣れなだけできっと女の子なら骨抜きだと思った。
九流がいう高校生活残り二年間、自分を買ったのは本当にただの性欲処理と暇つぶしなのだろう。
理由はどうあれ、ざくろ自身こんな短期間で大金を稼げるなんて思いもしなかった。
二千万あれば妹をちゃんと高校へも大学へも行かせてやれる。
その現実だけが今は嬉しい。
机の上に置いてあったカレンダーへ目を移すと、ざくろの顔が優しくなった。
今週の日曜日、月に一度の約束の日
寮へ膨大な手続きの処理をして、外出許可を取った。
この世で唯一、身を削ってでも守り抜きたい妹の「あきら」に会う約束に、ざくろは嬉しそうに笑顔を浮かべた。
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