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第45話

暫く沈黙が流れ、ざくろは困ったように笑った。 「あはは・・・、そんな真剣にならなくても冗談ですよ。甘えたりなんて厚かましいことしませんから」 だから安心してください、とざくろは瞳を伏せて囁いた。 人に甘えたりする事が今までなかったざくろの不器用さに九流は胸が痛くなる。 まとわりついてきた女達は自分にへばりついてはあちこち連れ歩き、宝石やブランドもののバッグを買い漁り、美味しいレストランへ連れて行って欲しいと豪遊する奴らばかりだった。 そんな人間しか見てこなかったせいで普通の感覚が九流自身鈍っていた。 しかし、ここまで無欲すぎるざくろもどうしたものかと考えを巡らせる。 何かを思案する九流に首を傾げ、視線を置き時計に向けた時、ざくろは焦った声を上げた。 「先輩!もうすぐ昼休み終わりますよ!早く学校へ・・・っぇえ!!?な、何!?」 布団を剥いで狭いシングルベッドへ乗り上がると驚く声を上げるざくろを両腕で抱きしめた。 九流の行動に驚くざくろは、少し考えた後、あぁ!っと納得した。 「やっぱり、していきます?」 「・・・ちげーよ!」 「え?」 どうやら発情したと勘違いされたようで、九流はムッとしながら睨みつけた。 「風邪引いてるときは何かと人肌恋しいだろ?側にいてやるからゆっくり休め。欲しいもんやして欲しい事があったらその都度言えよ」 「そんなの、悪いですよ!授業出て下さいっ!俺、本当慣れてるんで、薬も飲んだし後は寝てたら治・・・っぶ!」 必死に言い返してくるざくろにもう黙れと口を手で押さえる。 「早く、目を閉じて寝ろ」 短く命令すると、困ったようにざくろが眉を垂らした。 「いいから、ゆっくり休め・・・」 口から手を離し、優しく頬を撫でてくる九流の手にざくろは戸惑いながらも、ゆっくり瞳を閉じた。

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