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第47話
・・・・・ここ、俺の部屋だよね?
寝苦しさに目を覚ますと電気は消えてて部屋の中は暗かった。
後ろから包み込むようにキツく抱きしめられていて、ざくろは目覚めたと同時に驚いて息を呑む。
置き時計にそのまま視線を向けると時刻は2時を回った所だった。
そっと寝返りをうつも、そこには端整な顔立ちでかっこいいとしか形容できない九流の寝顔があって硬直する。
「・・・・・」
何が何だか分からなくて、冷や汗を流しながら頭の中を整理した。
出た答えは、九流を起こさないというもので、自分に絡みつく腕を慎重に剥がしながら静かにベッドを這い出た。
「・・・・・ふぅ」
シングルベッドに男二人はやはり狭くてざくろの体は熱のせいなのか抱きしめられていたからなのか体が痛む。しかし、熱は引いたようで体は軽く頭痛も消えていた。
汗をかいて体が気持ち悪いこともあり、ざくろはシャワーを浴びようと脱衣所へ向かって、少し熱めのシャワーを浴びた。
なんか、変な夢見た・・・
目を閉じるとそこには優しい瞳の九流がいて自分の事を、好きだと言った。
俺の事を甘やさせてくれると・・・
「・・・・自分の夢もここまでくると犯罪だね」
あの九流にそんな事を言わせる夢を見るなんて自分の浅ましさと厚かましさに失笑する。
九流はただ偶然出会って俺を買ってくれた客の一人だ。
ただ、高額な金額を与えてくれて専属の契約を結ぶ事になっただけで九流が卒業すればそれでそれも終わる。
二人の関係はそんなもの・・・
九流の暇を潰したい遊び心と自分のお金を稼ぎたい野心が重なっただけだ。
ただ、それだけ・・・
シャワーを浴び、喉が渇いて冷蔵庫を開いた。
中は沢山の食べ物と飲み物で満たされていてざくろは戸惑う。
確か、先輩が買ってきてくれてたんだっけ
そっとスポーツ飲料水に手を伸ばしそれを持つとざくろは飲んでいいのか悩んだ。
買ってきてくれたのではなく、もしかしたら自分のものをただ冷やしてるだけなのかも
だったら俺が飲むなんておこがましいよね!
危ない危ないと、その飲料水を冷蔵庫に直してコップを手に取り、水道水を汲んで喉の渇きを潤した。
カルキ臭くて美味しくはないがとりあえず喉が潤い満足する。
「なんで、飲まねーんだよ?」
いきなり後ろから不機嫌な声を掛けられ、ざくろはビクゥっと肩を竦ませた。
「せ、先輩!?」
振り返るとそこには眉間に縦皺を刻んで自分を睨む九流がいて、ざくろはゴクリと喉を鳴らした。
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