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第48話

side 九流 いつもざくろが真夜中であっても朝方であっても自分の側を離れる時、何故か目覚めてしまう。 数え切れないぐらいの女を今まで抱いてきたが女が帰ろうと残ろうと気にもかけなかった。 実際、寝ている時に先にホテルを出て行く女達に気付いた事もない。 なのに、ざくろの時は神経が過敏になるのか、やたら目を覚ましてしまっていた。 さっきもそうだ 自分の腕の中から出ていったざくろに気が付いてしまった。 自分の手の中を離れたと思うと、どれだけ眠くても喪失感が酷くて目が冴えてしまう。 シャワーを浴び終えたざくろは喉が渇いて、冷蔵庫の中からスポーツ飲料水を手に取った。 そんなざくろをぼんやり見つめていたら何故か飲料水を冷蔵庫へ閉まって、まさかの水道水を飲み始めてしまい、九流は絶句した。 いつも遠慮しては控えめなざくろだったが、自分が見てさえいなければ自由に振る舞うと思っていた考えは甘かったらしい。 馬鹿みたいに生真面目な男に九流はどうしたものかと溜息が出た。 「なんで飲まねーんだよ」 ぶっきらぼうに声をかけると、まさか自分が起きているとは思ってなかったようでざくろの体が驚きに跳ねた。 「せ、先輩?起こしました?すみません!」 謝罪してくるざくろを横目に九流はベッドから降りると、ペタペタ足音を鳴らしながら冷蔵庫へ向かった。中から先ほどざくろが手に取った飲料水を掴む。 「水道水飲むぐらいならコレ飲め」 胸へ押し付けるように差し出すとざくろは困った顔をして首を横へ振った。 「いえ、先輩のですから・・・」 「お前の為に買ってきたんだからお前のもんだ」 「え?俺の為に買ってきてくれたんですか!?すみません」 その事実に飲料水を受け取ると小走りで勉強机の方へざくろは走り、財布を取り出した。

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