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第51話

「先輩、俺こんなに食べられません!」 次の日、九流とざくろは一緒に食堂へ向かった。 ブッフェタイプの朝食で九流はざくろのお皿にご飯を盛っていく。 クロワッサン2つにハッシュドポテト、サラダにスープにベーコンのスクランブルエッグとガンガンよそう九流に焦るざくろは止めてくれと自分のトレーを胸に抱く。 「これぐらい食べなくてどうすんだよ。お前、昨日の夜、何も食ってねーだろ?」 「スポーツドリンク頂きました!」 「それ、食いもんじゃねーから。飲み物だから」 骨付きのソーセージをボトリとざくろの隙を見てお皿に二本置くと叫び声が上がった。 「ほ、本当にこれ以上入れないで下さい!」 一緒にいたら危険だとざくろは食事をするテーブルと椅子が並べられている場所へ走った。 九流は自分のお皿にも朝食を盛ると、逃げたざくろを追いかけて隣に腰掛けた。 この学校の食堂は一流シェフが料理を作っている事で味はとても、美味しい。 舌が肥えている九流ですら美味しいと思える逸品なのだが隣で食べるざくろの表情は無表情だ。 「美味しいか?」 「はい。美味しいですよ」 坦々と答えるざくろに九流が聞く。 「どれが一番美味しい?」 「そうですね・・・、どれも美味しいから分かんないなぁ」 結局、これも美味しいあれも美味しいとのらりくらり答えるざくろからどれが気に入ったのか答えが見出せず、呆れるように息を吐いた。 「お前、反応薄いな・・・。こう、もっと何ていうか・・・テンション高くなんねーの?」 普通よりテンション低めなざくろに言うと困ったように笑って視線を伏せた。 「あー、それ良く妹にも言われます。喜怒哀楽が薄いって。でも、本当に美味しいですよ。ただ、あんまり美味しいの食べると舌が肥えてしまいそうで不安になります」 顔を上げて、あははと笑うざくろに九流は自分の皿から取ったクロワッサンをざくろの口へ運んだ。 「むぐぅっ!」 押し込むようにクロワッサンを頬張らされてざくろはびっくりする。 「馬鹿みたいな心配すんな。俺が何だって食わせてやるから」 優しい笑顔付きで言われ、何て言葉を返していいか分からず口の中のクロワッサンをモソモソと噛みながらざくろは黙りこんでしまった。

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