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第53話
「しないんですか?」
「なにを?」
「エッチですよ!その為に呼んでるんでしょう?」
九流の腕からすり抜けて、キングサイズのベッドにアヒル座りしながら聞くと、九流は一瞬目を見開くもののすぐに優しい顔でざくろの腕を引いて抱きしめた。
「無理すんなよ。まだ病み上がりだろ」
よしよしと頭を撫でてくる九流にざくろはその手を押し返して真面目な顔で言った。
「あの!先輩!!最近変ですよ?どうしたんです?俺、前にも言いましたが変な気遣いやめて下さいね!ちゃんと仕事しますから」
「・・・なんだよ、抱いて欲しいのか?」
ニヤニヤ笑いながら自分の足や腰を撫でてくる九流にざくろは真面目に聞いてくれと怒鳴った。
「俺がじゃなくて先輩がしたいならって事です!俺の事、ちゃんと分かってます?」
「分かってるって?」
ざくろの手を愛おしげに自分の指に絡めて弄び、甘ったるい声で聞いてくる九流にざくろは眉間に皺を寄せて答えた。
「性欲処理機ですよ!それ以外使い道なんてないでしょ!?」
「・・・・・」
憤然と答えたざくろに九流の動きが止まった。
次に優しかった瞳が怒気を帯びるもの変わって、ざくろを睨みつけた。
「な、なんですか?」
「次、自分のことそんな風に言ってみろ。ただじゃおかねーからな」
「・・・・」
いきなり怒り出す九流にざくろが固まった。
何故、九流が怒っているのか分からない。
重たい空気が流れて、どうしたらいいのか悩むざくろは視線を伏せた。
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