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第54話
「ざくろ・・・、なんでそんなに自分を蔑むんだ?」
九流が聞くとざくろは眉間に皺を寄せた。
「蔑むも何も俺はそのままの自分の評価を述べてるだけです」
「自分の評価?」
「はい。お金貰って体を売ってるんです。性欲処理機としか思ってないし、先輩もそう思ってくれて構いませんから」
頑として自分の価値を変えようとしないざくろに九流の機嫌はどんどん悪くなっていった。
「俺の言いたい意味がわかんねぇ?」
怖いぐらい怒気を孕んだ目で睨みつけてくる九流に怯みながらも自分の考えを述べた。
「先輩こそ俺に何求めてるんです?俺、そんなに性能良くないですよ?オモチャ程度に思ってもらった方が楽です」
「・・・自分で言ってて悲しくないか?」
「悲しいもなにも真実ですから」
答えるざくろに九流はベッドから立ち上がった。
「今日は帰れ。一緒にいたら怒鳴って殴りたくなる」
怒りに満ちた声に吐き捨てられ、ざくろは苛立ちを隠すことなく挑発するように声を荒げた。
「怒鳴って殴ればいいでしょ!」
「あぁ?」
「先輩、何我慢してるんですか?二千万も俺に払ってるんですよ?二千万ですよ!俺にちゃんと仕事させて下さい!」
「仕事、仕事うるせぇんだよ!俺は金が関係ねぇとこでお前を抱きたいんだ!」
怒鳴り合いの最中、九流の本音が爆発してざくろは驚いたように口を閉ざした。
「お前が好きだって言っただろ・・・」
突然、夢とばかり思っていた言葉を言われて息を呑んだ。
暫く黙り込む二人だったが、ざくろは視線を落として大きく息を吐き、その沈黙を破るように呟いた。
「・・・・・先輩、気の迷いですよ」
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