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第56話
また怒らせた・・・
俺と先輩って相性悪いのかな
ざくろは自室へ着くと溜息を吐きながらベッドへ腰掛けた。
そのままパタッと仰向けに倒れて天井を見つめる。
好きだと言われた
驚いたけど嬉しくてその次にどうしたらいいのか分からなくて困ってしまった。
優しくされると嬉しい反面怖い
自分の立ち位置がブレる
勘違いを起こしてみっともなくなるなんて嫌だ
もともと惨めなのにこれ以上惨めになったら流石の俺も泣けてくる
だから友人も作らずにいた
変な独占欲が出たら困るから
それなのに好きだなんて・・・
こんな俺のこと好きになってくれる人なんてあきらだけだと思ってた
だから、対応に困ってしまう・・・
俺が勘違いする前に先輩の気の迷いを一秒でも早く払拭して欲しい
全寮制の男子校で女の子と触れ合ってないからちょっと女顔の俺を相手にして気が動転してるんだ
お金も権力もあって、家柄だって良い。
それに加えて文句なしにルックスだっていいんだ
こんな貧乏で体を売るような下卑た商売をしてる男なんかより可愛くて華やかなちゃんとした女の子の方が先輩には似合ってる
胸がツキンッと、今まで感じることがなかった初めての痛みに胸の辺りをキツく掴んだ。
「苦しい・・・。なにこれ、病気かな」
この痛みの正体が分からなくてざくろはベッドの上で体を丸めてキツく瞳を閉じた。
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