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第57話

空気重っ・・・・ 次の日、朝食を食べる為に食堂へやってきたざくろと九流は同じテーブルに座って朝ごはんを食べていた。 恐ろしいぐらい、暗く殺伐とした空気感に周りの人間は近寄れずいた中、九流の幼馴染の門倉が失笑しながら声をかけてきた。 「ここだけ、別世界だぞ・・・」 二人の間合いに入るや、重っ苦しい雰囲気を門倉はぶっ壊すように満面の笑顔でざくろの隣に座った。 「おはよう、西條君!猛と喧嘩?」 「いえ、喧嘩なんてしてませんよ」 にっこり笑顔で受け答えするざくろに九流の瞼がピクリと跳ねる。 「あらら?二人共笑顔じゃないからてっきり喧嘩でもしたのかと思ったよ」 「喧嘩なんてする事ないですよ。俺、九流先輩に買われてる身分ですよ?怒ったり反発したりする気ないんで」 ざくろのその言葉に九流は持っていたフォークとナイフをバンッとテーブルへ叩きつけた。 「嘘つけ、お前っ!昨日、怒ったり反発したりしたばっかりだろうが!」 「してませんよ。俺は先輩が勘違いしてるから教えただけです」 「勘違いなんてしてねーよっ!お前が仕事仕事って金にこだわってるんだろ!?」 「そりゃ、お金は俺にとっては死活問題ですから!先輩のように裕福じゃないんです!あきらの事だって、高校に大学って行かせてやりたいんです!」 食堂という事も忘れて二人は声を荒げ始めてしまい、門倉は驚きながら二人の間に入って宥めにかかった。 「お、落ち着こう!ここじゃ目立つからちょっと、落ち着こう!!」 「うっせぇ、お前はどっか行け!」 「俺がどっか行ったら西條の事、責めるんだろ?止めとけ」 「俺とざくろの事に口出しすんな!」 「猛、冷静になれよ。お前のその真っ直ぐな性格嫌いじゃないけど、押し付けるところは間違えてるぞ?西條には西條なりの理由がある」 厳しい口調で制され九流は歯を食いしばって口を詰むんだ。 「・・・・悪かったな」 「いえ・・・」 少しして何に対しての謝罪なのか分からなかったがざくろは小さく首を横へ振って受け答えした。

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