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第60話

「そうそう、ここにこの数式を当てはめるんだ」 朝起きて、食事を終えると九流は約束通りざくろの宿題を見てやっていた。 呑み込みは少し遅いが一度理解するとざくろはとても要領良く問題を解いていった。 九流の教え方も良かったことから宿題は予定時刻よりもかなり早く終わった。 「11時か・・・、外でご飯食べようぜ?」 あきらとの約束はお昼の3時からだった。 カフェでお茶でもして夕方には別れる予定で、そのあと九流は寮の門限までざくろとのデートを楽しむつもりでいた。 なので、出発は昼の2時を考えていたのだが九流はざくろと少しでもデートをしたくて誘う。 「はい。いいですよ」 勉強道具をしまいながら頷くざくろに九流は椅子から立ち上がった。 「先輩、宿題みてくれてありがとうございました。凄く教え方も上手で本当に助かりました」 ペコっと頭を下げるざくろの頭をポンポンと叩いて九流は棚の上に置いてある財布をズボンの後ろポケットへ入れる。 「荷物、ここに置いて一緒にそのままで出ようぜ」 「あ、すみません。財布持ってきてないんで」 一度取りに帰りますと続けようとしたら、九流はざくろの手から荷物を奪って机の上へ置いた。 「俺と一緒にいて財布が必要になんてならねーよ」 「え?」 「ほら、行くぞ」 手を引かれ、部屋を出るとざくろは焦った声を出す。 「あの、先輩?困ります!それに帽子、帽子も被りたいんです」 「帽子が欲しいなら買ってやるよ。何も困る事なんてない。お前は欲しいもんや食いたいもん俺に教えてけばいいだけだから」 不敵に笑う九流に連れられ、戸惑うざくろは部屋を出て寮の門をくぐった。

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